【韓日ビジョンフォーラム】「韓日、MASGA共同戦線で関税対応協力も可能」

投稿者: | 2025年10月27日

高市早苗首相(64)が21日の就任記者会見で「韓国は重要な隣国」とし「日韓関係の重要性は一層増している」と述べた。石破茂首相から高市首相へのリーダーシップ交代にも両国はひとまず協力を継続するとみられる。ただ、過去の問題など雷管は相変わらずだ。韓日の政治的転換期に合わせて韓半島平和づくり(理事長、洪錫炫中央ホールディングス会長)は23日、「石破以後の韓日関係」をテーマに韓日ビジョンフォーラムを開いた。出席者は「米国との関税交渉などを考慮して韓日が戦略的協力関係を維持していくべき」という意見で一致した。

朴喆熙(パク・チョルヒ)元駐日大使(発題)=日本は安倍時代の安定した政治から不安定なパラダイム時期に移る政治的転換期だ。自民党1強体制は終焉を告げ、多党制に入った。高市氏の自民党総裁当選は自民党保守右派の回帰と「保守リベラル」の敗退を意味する。穏健保守から強硬保守に「右旋回」ということだ。高市氏は地方票の多数を握り、麻生太郎氏、茂木敏充氏と連合して議員票の相当数を獲得した。いわゆるATM(Aso-Takaichi-Motegi)連合だ。自民党総裁選挙後に公明党が連立政権から離脱した背景には、自民党の傲慢と油断、同伴墜落を避けるための公明党の計算などがある。日本維新の会と連立政権を組んだ後、小泉防衛相らを内閣に引き込んで党内の統合を図り、参政党という潜在的友軍もあるが、高市政権は相当な流動性を抱えている。依然として少数与党である点、そして右派性向が強まる場合は中道野党間の強い協力にぶつかるかもしれない点は不安定な要素だ。高市氏は執権序盤には安全運行モードを維持するとみられる。韓日間の協力基調を転換するほどのインセンティブは大きくない。米国の圧力、中国の攻勢など外部要因に基づき韓日国際協調は維持されるとみられる。ただ、歴史や領土の問題が懸案に浮上したり日本の対北朝鮮抑止強化基調が強まれば、韓国との国家戦略の整合性は落ちる可能性が高い。

 申珏秀(シン・ガクス)元駐日大使=この1カ月間、日本全国が漂流する時期に入り込んだようだ。大阪を基盤とする維新の会と閣外協力という形態で連立を組んだため不安定性を持つ。世論調査によると、高市内閣の最優先課題は物価だった。政治資金、社会保障、外国人政策、外交・安全保障、憲法改正が後に続いた。関税への対応は大きなイシューにならなかった。

李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=高市氏は安保の面では強硬保守だ。李在明(イ・ジェミョン)政権が北に融和的なジェスチャーを見せる場合、温度の差が生じかねない。歴史認識でも韓国と葛藤が深まるかもしれない。ところが日本が直面した厳しい国際環境を考慮すると、韓国との関係を毀損したり悪化させたりする言動は控えると予測される。そのような観点で我々は韓日シャトル外交という貴重な外交資産をうまく活用して信頼をさらに蓄積しなければいけない。

李昌玟 (イ・チャンミン)韓国外国語大教授=高市氏がアベノミクスを継承するのは容易ではないだろう。金利引き下げを主張するが、中央銀行を重視する麻生太郎自民党副総裁がブレーキをかけると考えられる。高市氏は周辺国との関係で予想以上に調和を維持して国政を率いるとみられる。高市氏の愛読書の中に『「空気」の研究』がある。日本の雰囲気(空気)を読んで周辺と調和することから高市氏の哲学が出てくるということだ。よく言及されるようなワンマンな運営はしないと予想する。

ソン・ソクウィ東北アジア歴史財団研究委員=2012年に安倍政権が発足した後、6回の選挙で当時の野党は分裂を繰り返した。この時、自民党は無難に勝つ選挙と解釈したようだ。(連立政権を組む)公明党がありがたい存在ということを忘れていたのだ。選挙で投票率は低いが、最近になって有権者の流動化現象が見られる。自民党の組織票が縮小した中で「自公(自民党+公明党連立政権)」時代の終焉を誰も想像できなかったように日本の政治がどう整理されるかは見守らなければいけないようだ。

朴鴻圭(パク・ホンギュ)高麗大教授=韓日関係の変数は突発性だ。高市政権が右側に進むのは十分に予想可能なことだ。ただ、突発的状況が発生した時に韓国政府がどう対応するかが重要だ。李在明政権が支持基盤である進歩陣営をコントロールできるほどの断固たる対応ができるかが懸念される。近いうちに(日帝による)被害生存者がいない時代が到来する。従来の声とは異なる声や行為が出てくることもある。

申鉉昊(シン・ヒョンホ)ヘウル代表弁護士=強制徴用などの訴訟は今後も続くだろう。韓国社会はセウォル号、梨泰院(イテウォン)惨事などと関連して特別法を作って社会的葛藤を解消したが、強制徴用の部分は進まないようだ。法曹界にも強制徴用、慰安婦被害特別調査委員会のようなものがある。日本でこうした議論をする組織があるのなら共同シンポジウムを進めながら世論を形成できるだろう。

李根寛(イ・グングァン)ソウル大法学専門大学院教授=日本との関係は多層的なものであり、対応も個別イシューを別々に処理する「サラミ」式に進まなければいけない。一つの問題が浮上した時、日本との関係を全般的にすべて見直すべきという主張はよくない。李在明大統領がトランプ大統領の関税政策に対応しながら日本を先に訪問してノウハウを得て、その結果、成果を出した。今後続く米国の圧力などに韓日間の共同対応が必要だと考える。

権泰煥(クォン・テファン)韓国国防外交協会会長=高市氏は就任後、安保3文書を改定すると言った。改定から3年しか経っていないがまた改定するということだ。これは李在明政権が掲げた任期内の戦時作戦統制権回復、日本とも連結した国連軍司令部問題、そして韓米連合軍司令部問題などと根本的な温度差として表れる可能性がある。

パク・ムンス未来と価値会長=内政不安が迫れば高市氏は対外的に突破口を見いだすために歴史など韓日問題を取り上げる可能性がある。韓国政府はこれに賢く対処する案を事前に考えなければいけない。

柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交部長官=初めて女性が首相になるのを見て日本社会が変わったと感じた。日本人の認識構造が変わったということに留意しなければいけない。独島(ドクト、日本名・竹島)は領土問題であるため我々が強く対処するしかない。ただ、強制徴用などの問題は我々の立場を落ち着いて考え、どの程度で対応するべきかコンセンサスを確立してこそ今後の不確実性を解決できる。

金振杓(キム・ジンピョ)元国会議長=韓日関係で我々の対応がツートラック戦略で進むべきという言葉に共感する。ビビンパのように混ぜて「日本は悪い国だ」というよう進んではいけない。専門家らが共に参加して事案一つ一つを個別的に冷徹に見ながら国益のためにどのような最適な案を出せるかを考えなければいけない。

崔相竜(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授=日本は米国・英国・フランスとは違い革命もなく、左派政権が執権したこともなかった。日本保守政治の生命力は日本人の寿命ほど長い。政界が日本の保守政治の連続性を理解する必要があるということだ。現在の韓日両政府の構成員を見ると、みんな1945年8月以降に生まれた人たちだ。未来志向ができる世代だ。ここに期待をかけたい。

李夏慶(イ・ハギョン)中央日報論説委員=高市政権の登場は危機要因だ。高市首相は原子力潜水艦を導入しようとする。2013年の安倍元首相のように靖国神社を奇襲参拝する可能性もある。李在明政権は強硬対応の誘惑に駆られるかもしれない。地方選挙と総選挙を控えて反日路線で支持率を引き上げることができるからだ。日本の内閣が揺さぶっても我々は国益のために毅然と対処しなければいけない。

洪錫炫(ホン・ソクヒョン)韓半島平和づくり理事長=米国の関税に対応する時、韓国の最も大きなカードは韓米造船業協力プロジェクト「MASGA」だ。米国は海軍力が世界1位だが、船舶を建造して修理する能力を失った。米国を支援できる国は韓国と日本しかない。この点で韓国・日本が協力して共同戦線を展開する余地がある。日本国内で安定的な政治環境が形成される可能性が低い点を考慮し、李在明大統領は包容力を発揮して日本をリードしなければいけない。市場と産業構造生態系を共に使用できる政治力が両国で発揮される場合、1+1が3以上になる効果を出すことができる。財界が率先して政治が後押しする環境が作られればよい。

◆韓半島平和づくり=韓半島平和定着に寄与するため2017年11月に発足した。傘下の韓日ビジョンフォーラムは韓日関係改善のための実質的かつ戦略的な解決方法を講じる。申珏秀元駐日大使が委員長を務める。

2025/10/27 14:07
https://japanese.joins.com/JArticle/340246

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