【リセットコリア】韓国の急激な株価上昇、革新がなければ持続しない

投稿者: | 2025年10月27日

今年、韓国の株式市場は世界で最も高い上昇率を記録した。その過程で相当数の銘柄の株価が国際比較基準で高くなった。株価収益率(PER)で見ると、主要造船株の株価は米国の7大核心ハイテク株(M7)よりも高い。主要防衛産業株も米国防衛産業企業より高い水準となり、このような業種が増えた。この場合、株価の起伏が大きくなりやすい。

今年と比べて来年は景気の好転が予想される。しかし主要国内研究機関の来年の予想成長率は1.6~1.9%にすぎない。1990年以降、成長率2%以下だった時期の株価は概して活気がなかった。多くの資金が供給されているため株価は維持されるかもしれない。しかし利益と比べて株価が高い状況で景気回復が弱ければ株価は下がる傾向にある。

 経済状況に敏感な為替レートと資金の推移で見ると、今後の景気見通しは明るくない。まずウォン安が米国との通商摩擦のためだけではないという点も考慮する必要がある。韓国ウォンは2022年10-12月期から他国の通貨に比べて値下がりする時は大幅に下落し、値上がり時は上昇幅が小さかった。これは韓国経済の傾向的な衰退を意味する。これらはウォン安の推移から確認できる。

9月末のドルインデックス97.45当時、為替レートは1ドル=1404ウォン(域外基準)だった。しかしドルインデックスが当時と似ていた2020年1月23日は1ドル=1168ウォン、2022年3月3日は1ドル=1205ウォンだった。また、韓国ウォンの推移は2021年4月以降はブラジル・レアルより、2023年1月以降はフィリピン・ペソより、2024年7月以降は日本円より、2024年11月以降はロシア・ルーブルより低いか似た水準だった。このようにウォン安は長く続いてきた。

資金も海外に流出した。2012年~2025年8月の韓国の海外株式投資は7917億ドルにのぼる。このうち4929億ドルが海外株の購入だった。半面、外国人の国内証券投資は2906億ドルで、うち国内株式取得は169億ドルにすぎなかった。一方、今年5~8月、外国人の国内株購入は以前より多い87億ドルだったが、同期間の韓国の海外株購入は249億ドルだった。国内資金の大量流出と少ない外国資金流入が最近の韓国経済の実情だったようだ。

長期間にわたるウォン安と資金の離脱は韓国経済体制の累積した問題のためだ。政策当局はその間、必須構造調整、先端新産業育成、労働改革を徹底しなかった。景気が鈍化すれば当局は低金利を誘導し、ウォン安が自然なものとして済ませた。政界は財政を動員してばらまきも増やした。

こうした流れの中で負債は増え、景気は活力を失った。実際、韓国の政策金利は欧州連合(EU)・台湾・日本を除いて世界的に低い。韓国ウォンはその間、多くの国家より大幅に下がったが、韓国より今年と来年の成長率が低い国は日本、一部の欧州国家、異常な経済状況にある数カ国にすぎない。強く懸念される。

また、2020年比で今年8月現在の輸入物価上昇率はドル基準で14.7%だが、韓国ウォン基準では35.2%にのぼり、ウォン安のため国民は物価被害を大きく受けた。これまでの貿易黒字もウォン安による輸出増加よりも輸入鈍化・減少の影響が大きかった。このようにマクロ要因が振るわないため、企業の利益の浮沈が激しかった。その結果、株価の起伏が大きくなった。

今回は株価が上昇したが、株価形成の根本となる景気が依然として不安定だ。特に国内経済に潜在ショック要因があちこちにある。例えばフランスなど先進国の巨額の負債による世界経済悪化の懸念、米国との厳しい関税交渉などは潜在ショック要因だ。半導体など一部を除いて2026年の上場企業の利益推定値も当初の予想より低い。

今は革新と企業支援が強化されなければいけない。もちろん経済は半導体などいくつかの産業の影響で当分は持ちこたえるかもしれない。しかし革新がなければ過去30年間に5年ごとに1%ポイントずつ鈍化する成長率の下落傾向は今後も続くだろう。要するに韓国の経済状況は「ゼロ成長」になるリスクを抱えている。切実な状況対処が必要だ。

シン・ソンホ/元IBK投資証券社長/リセットコリア経済分科委員

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2025/10/27 16:07
https://japanese.joins.com/JArticle/340254

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