米国のドナルド・トランプ大統領が29日午前、釜山(プサン)の金海(キムへ)国際空港を通じて入国し、8年ぶりとなる国賓訪韓日程を開始する。翌日には中国の習近平国家主席も同じく国賓として訪韓し、その直後に米中首脳会談が開かれる見通しだ。韓国政府は、両首脳を含め訪韓するすべての首脳級人物に「最高級の待遇」を予告している。
トランプ大統領の金海空港での出迎えは、外交部長官または次官が務める見通しだ。通常の国賓訪問の手順に従い、儀仗隊が整列し、国家元首を最高に遇する意味を持つ礼砲21発の発射も行われる予定だ。これに先立って26日(現地時間)、トランプ大統領がマレーシア・クアラルンプールを訪問した際には、専用機「エアフォースワン」がマレーシアの領空に入ると、空軍のF-18戦闘機が空中護衛を行った。空港では伝統衣装を着た舞踊団が登場し、トランプ大統領が拳を握って腕を振る特有のダンスを約10秒間披露して応える一幕もあった。
ただし、韓国政府はトランプ大統領に対する国賓儀礼は最高水準で行うものの、戦闘機の護衛や過度な演出などは控える方針だという。アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の期間中、21カ国の加盟国首脳および高位級要人が順次訪韓することを考慮し、各訪問団の待遇に細心の配慮を払う必要があるという判断からだ。
トランプ大統領は直後にAPEC首脳会議が開かれる慶州(キョンジュ)へ移動し、韓米首脳会談や最高経営責任者(CEO)サミットでの演説などの日程をこなす。30日の予定は米中首脳会談以外は明らかになっていない。宿泊先は慶州ヒルトンホテルとなっている。トランプ大統領は訪韓期間中、大統領専用リムジン「ビースト(The Beast)」と専用ヘリ「マリーンワン(Marine One)」を交互に使用する予定だ。
トランプ大統領の訪韓で最後まで注目を集めている突発的な変数は、朝米首脳会談の可能性だ。トランプ大統領は最近、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と「会いたい」と話し、29〜30日に予定されている1泊2日の訪韓日程を延長したり、北朝鮮に対する制裁問題を協議する可能性を示唆して余地を残した。
慶州から板門店(パンムンジョム)まではヘリで約1時間30分ほどあれば行くことができる。2019年6月、トランプ大統領の一つのツイートによって、その約30時間後に実際に会談が実現した前例を踏まえると、韓米両国とも警護などの面で万が一の状況に備えている可能性が高い。ただし、北朝鮮はトランプ大統領の「ラブコール」に沈黙している。北朝鮮の「後ろ盾」である習主席が訪韓し、トランプ大統領と直接交渉に臨む時点で、北朝鮮が関心を分散させたり米国に接近するのは容易ではないとの見方が出ている。
11年ぶりとなる習主席の国賓訪韓を前に、韓国政府はトランプ大統領と同等の最高待遇を金海空港の入国から訪韓期間中一貫して提供する計画だ。特に30日の米中首脳会談は、異例にも金海空港内の空軍基地儀礼室「ナレマル」で開催される可能性が高い。習主席はトランプ大統領と異なり、31日から2日間にわたって行われるAPEC首脳会議の主要行事にも出席し、次期開催国の首脳として存在感を示す見通しだ。
習主席は首脳会議場である慶州和白(ファベク)コンベンションセンター(HICO)から約8キロ離れた慶州コーロンホテルに宿泊する予定だ。首脳専用宿舎(PRS)は、防弾ガラスを備えるなどリフォーム作業を経たという。
2025/10/29 06:42
https://japanese.joins.com/JArticle/340312