米中首脳が初の同時訪韓…李在明大統領の「脱・安米経中」が試される

投稿者: | 2025年10月29日

慶州(キョンジュ)で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は国賓訪韓で始まり、国賓訪韓で終わる。ドアを開くのはトランプ米大統領で、29日に金海(キムヘ)国際空港に足を踏み入れる瞬間、事実上APEC外交戦は始まる。ドアを閉めるのは中国の習近平国家主席だ。次期議長としてさまざまなメッセージを発信した後、11年ぶりの訪韓を終える。李大統領は28日、首脳会議議長の資格で慶州入りした。

米中首脳を同時に、しかもソウルでなく地方で国賓として迎えるのは前例がない。主要国の首脳をもてなすために初の「両首脳同時国賓訪問」という勝負に出るが、比較は避けられない。今回のAPECで李在明(イ・ジェミョン)大統領の実用外交は「韓国は米中間のどの辺に立っているのか」という古くからの質問が避けられないとみられる。

 李大統領の「言葉」はひとまず米国側に近いところにある。李大統領は8月の訪米の際、「韓国が安保は米国、経済は中国という立場(安米経中)を持ってきたのは事実だが、もう過去のような態度をとることはできない状況になった」と述べた。その後、メディアのインタビューなどでも同じ立場を維持した。

李大統領の訪米直前、戴兵駐韓中国大使は「韓国は(米中の間で) 『均衡外交』をうまくする能力と知恵があると信じる」と述べたが、李大統領の発言はその翌日に出てきた。

これに先立ちヘグセス米国防長官は5月、安米経中の「誘惑」に言及しながら「中国に経済的に依存することは、葛藤状況で我々が国防関連の決定をするのを難しくする」として同盟と友邦の安米経中基調に直接的な警告を飛ばした(シンガポールでのアジア安全保障会議)。李大統領が米本土で安米経中時代に「終焉」を告げたのは、中国の要求には難色を示しながら米国の要求に公開的に呼応したのと変わらない。

慶州ではこうした李大統領の言葉が行動につながるかを確認できるとみられる。最も確実なのは首脳会談の結果物だ。

李大統領とトランプ大統領は前回の首脳会談で関税問題をめぐる葛藤に対して結果物を導出できなかった。日本は2月の首脳会談で同盟強化の意志を込めた共同声明を出したが、韓国はまだ米国首脳レベルで拡大抑止など米国の確固たる防衛公約の確認も受けていない状況だ。

今回も関税葛藤を解決できず密度ある文書の結果物が出ない可能性もある。核心争点は韓国が米国に投資することにした3500億ドルの現金性直接投資比率と分納方式だ。米国は2000億ドルの現金投資と年250億ドル以上の執行を要求している一方、韓国は為替市場への衝撃を考慮して年150億ドル以下を主張している状況だ。

これと関連し、29日の韓米首脳会談前に金容範(キム・ヨンボム)大統領室政策室長がラトニック米商務長官に直接会って高官級の最終交渉をすると、政府関係者は伝えた。合意点導出の期待もあるが、現在のところ可能性は高くない。

ソウル大法学専門大学院のイ・ジェミン教授は「APECと首脳会談がすべて終わっても合意がないという認識が広まれば、両国ともに負担が大きくなるだろう」とし「少なくとも『隔たりが狭まっている』というメッセージを出さなければいけない」と強調した。韓中間には中国の強圧的な行動による葛藤が懸案として作用している。西海(ソヘ、黄海)に無断で構造物を設置して軍艦を送るなど内海化の動きが代表的な例だ。

韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備後にあった中国の報復もまだ完全には除去されていない。中国はこれによる反中感情を問題視する。

習近平主席は李大統領との首脳会談で自由貿易および多国間主義体制守護などを強調し、事実上、トランプ政権の一方主義を牽制しながら、韓国もこれに加わるよう促す可能性が高いとみられる。これに李大統領がどのような反応を見せるのか、結果物にどんな文案を入れるかが注目される。両国は以前からの課題である韓中自由貿易協定(FTA) 2段階交渉に関する議論もすると予想される。

中国側は首脳会談後に多くの結果を出すため多様な分野を調べているという。文書化した結果物に両国首脳間の経済・社会協力拡大の意志が反映されると予想される理由だ。韓米間では共同ファクトシートが導出される可能性があるが、韓中間では共同声明か、共同宣言か、報道発表文か結果物の形式と級も注目される。

首脳間の「スキンシップ」も関係の密度の指標となる可能性がある。トランプ大統領は1泊2日、習近平主席は2泊3日間の日程で韓国を訪問する。国賓日程自体は両国首脳ともに一日ですべて消化される。

ただ、習近平主席はAPEC首脳会議の本セッションに出席するだけに、議長の李大統領と引き続き交流する機会があるとみられる。中国が次期議長国であるため団体写真でも李大統領の隣に習近平主席が立つ可能性が高い。韓中首脳会談がAPEC閉幕後の単独日程で行われるのも、習近平主席に対する注目度が高まる設定だ。

梨花女子大の朴仁煇(パク・インフィ)国際大学院長は「韓国は米国と中国の両国との関係を管理しなければいけない特殊な位置にある」とし「李在明政権が実用を前面に出しているだけに、今回のAPECを契機に韓国が米中間で主導的かつ実用的な『韓国型外交モデル』を構築する契機にしなければいけない」と強調した。

2025/10/29 08:53
https://japanese.joins.com/JArticle/340327

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