高市首相の笑顔と韓国のり【東京支局長コラム】

投稿者: | 2025年10月31日

 東京都内の首相官邸で総理大臣就任会見が行われ、高市早苗首相はいつもの笑顔を見せた。今月21日夜10時、最後の質問者として記者が指名された。目のしわと共に浮かべる笑みは「政治家・高市早苗」のトレードマークだ。質問を受けた後に見せたその笑顔は記者にとってやや想定外だった。この人は韓国への強硬姿勢で知られるあの高市早苗首相のはずだが。

 記者は「韓国では高市首相就任で韓日関係が悪化するとの懸念もある。実用外交を掲げる李在明(イ・ジェミョン)大統領のように韓国重視の外交政策を期待する声もあるが、首相の考えをお聞かせ願いたい」という趣旨の質問を投げかけた。もしかすると不快に感じたかもしれない。「反日で知られた韓国の大統領も就任後は国益のため日本重視の外交路線に転換した。あなたはどうするのか」と問いただしたのだ。

 高市首相は言葉が全く詰まることもなく「韓国は日本にとって重要な隣国だ」として「いろいろ懸念はあるようだが、私は韓国のりが好きで、韓国コスメも使っているし韓国ドラマも見ている」と答えた。次の日に日本の外務省では「韓国のり」発言が話題になったという。「韓国重視」を伝えるための意図的な発言と解釈されたのだ。就任会見で韓国人記者が指名されたことも意外だったが、個人の好みに触れながら他国への好意を示すのは過去に例がない。

 高市首相が今後韓国に対していかなる態度を示すか予測は難しい。韓国のりが好きだから突然親韓になるわけではないだろう。3年前に「靖国神社参拝をやったりやらなかったりするから相手が調子に乗る」と発言した高市首相だ。強硬派の高市首相が来年4月に靖国神社の春季例大祭に突然参拝し、韓日関係を一瞬で崩壊させる可能性もなきにしもあらずだ。

 しかし過去の発言や行動だけから高市首相を強く批判する韓国の一部の見方には同意できない。例えば李在明(イ・ジェミョン)大統領が過去に「日本は敵性国家」と発言したとの理由で日本メディアが「反日主義者」と批判を続ければ、韓国はその批判に納得できるだろうか。

 今年1-5月に日本の政界関係者、外交関係者、メディア関係者から最も多く聞いた質問は「李在明氏が大統領になれば韓日関係は終わりではないか」だった。これに対して記者は「あなたたちは李在明氏について知らない」「元少年工で社会の底辺にいた彼が大統領の地位に上り詰める過程で語った反日発言だけを見るのではなく、就任後の言動を見守ってほしい」と訴えた。

 韓国も高市早苗という人物全体について知らない。東京の名門大学に合格したが学費の問題で地方の国立大学に進学し、今年初めに夫が脳梗塞で倒れ1人で介護を続けている60代の女性政治家だ。就任したばかりの隣国の首相を色眼鏡で見ることは危険極まりない。記者に見せた高市首相のあの笑顔は確かに本音ではなく建前かもしれないが、彼女は今「韓国を重視する」「中国には懸念を抱いている」と語る。韓国が国益を守るには彼女のこれらの言動を冷静に見極めることがまずは必要だ。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

2025/10/31 10:42
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/29/2025102980158.html

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