トランプ米大統領が韓国の念願だった原子力潜水艦建造を承認する意向を明らかにした。長時間の潜航能力による隠密性、遠距離作戦能力、機動性と作戦持続能力を備えた原子力潜水艦の確保は韓国軍事力の質的飛躍を意味する。さらに原子力潜水艦は単なる戦力増強を越え、韓国の自主国防力量と韓米同盟の連合防衛力を強化する核心資産として機能する。
しかし原子力潜水艦のような戦略武器体系を確保する過程には多くの制約が伴う。核物質を動力源として使用するため法的・技術的・外交的制約が複合的に作用する。政治的な宣言がすぐに原子力潜水艦の確保に帰結するのではない。もちろん韓米首脳の協議を通じて今後予想される難題を解決していく環境と推進の動力が用意されたという点は意味が大きい。
最初に解決するべきことは法的・制度的な限界だ。2015年に改定された現行の韓米原子力協定は、米国の事前同意なく韓国が核物質を濃縮したり再処理したりすることを禁止している。今回のトランプ大統領の承認はこうした制約を緩和するという政治的な信号と解釈できる。これを現実にするためには米国議会の承認はもちろん、韓米両国の特別協定締結など法的・制度的な根拠を用意しなければならない。
技術的な側面でも解決するべき課題が多い。原子力潜水艦の建造は単なる造船技術を越えて艦艇搭載用小型原子炉の設計、推進体系の連動、放射線の遮蔽、冷却システム、精密な溶接など高度な統合技術と経験が必要となる。潜水艦建造のための専用施設とインフラの確保も必須だ。トランプ大統領が言及した米フィリー造船所で韓国原子力潜水艦を建造するという構想には、米国の造船産業再建政策と連係した政治的な計算があるとみられる。しかしフィリー造船所は原子力潜水艦建造のための設備と環境が整っていない。したがって効率的で現実的な協力案を模索しなければいけない。
現実的な代案として両国の技術と産業的な強みを結びつけた共同建造モデルを考慮することができる。米国は原子炉と核燃料技術を、韓国は潜水艦の船体設計と組み立て力量を担当する分業型協力体系を構築することだ。一部の核心工程を米国で遂行し、韓国で建造・組み立て・試験手続きを併行するハイブリッド(混合)方式が合理的な案になると考えられる。このためには建造場所、技術移転、責任範囲などを明文化した別途の韓米協定が必要となる。
外交的な考慮も重要だ。韓国の原子力潜水艦確保は域内の安保構図に敏感な波紋を呼ぶと予想される。中国は韓国の原子力潜水艦確保を中国牽制のための米国の同盟強化努力の一環と誤解するおそれがあり、日本も域内の軍事力均衡変化に注目して軍事力の現代化を加速する契機とするかもしれない。したがって韓国は原子力潜水艦が非核兵器であり防御的な戦力であることを国際社会に明確にする必要がある。
同盟は信頼が重要だが、利害関係の上で実質的に作動する。韓国の原子力潜水艦確保が米国の産業と安保利益になるという認識が広がるほど、トランプ政権は制度的・技術的・外交的支援幅を広げるだろう。したがって米国内部の支持基盤を拡大することが求められる。特に韓米両国海軍の緊密な協力が非常に重要となる。韓国の原子力潜水艦が域内海洋安保と連合海軍力強化に寄与するという共感が広がるほど、政策的レベルの支持が一層強化される。
原子力潜水艦の確保は長い時間と莫大な資源を要する。米国の次期政権でも一貫した推進が可能になるよう制度的装置が必要だ。韓国政府も国防部・外交部・産業通商資源部・科学技術情報通信部など関係部処が緊密に協力する常設協議体を構築し、国防・技術・外交・産業が有機的に連係する統合戦略ロードマップを用意しなければならない。
韓国の原子力潜水艦確保に対する米国の承認は韓米同盟の相互信頼と戦略的連携をさらに深める契機となる可能性がある。ただ、政治的な宣言だけでは十分でない。国家的な意志と外交的な知恵、そして長い観点の長期戦略が必要な時だ。
ユ・ジフン/韓国国防研究院研究委員
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2025/11/06 14:53
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