日本は用語選択でも異なる。「定年延長」ではなく「雇用確保措置」と呼ぶ。定年を一律的に高める代わりに55歳をピークに賃金を据え置いた後徐々に減らし、職務調整と役割再設計を通じて報酬を合理化した。いわゆる「年俸日本モデル」は雇用確保措置以前の話だ。熟練人材を維持した上で人件費総額が急増するのを防ぎ青年の雇用安定性を同時に達成した。結局日本は定年を延ばしたのではなく、高齢化に合わせて労働生涯全体を再設計したのだ。
労働界は「定年延長が青年雇用縮小につながるという主張は根拠がない」と主張するが、現実は違う。韓国銀行によると高齢労働者が1人増えれば青年雇用は0.4~1.5人減少する。しかも定年延長議論が大企業・公共部門を中心にされている点も問題だ。人件費負担が大きい中小企業は賃金構造改革のない定年延長に耐えられない。このように労働界の主張に現実性がないため大統領の公約を実現するための与党定年延長特別委員会は発足から7カ月過ぎても進展がない。
日本は外国人労働者が230万人に達する。不足する労働力をすでに多くの外国人に依存している。韓国の近い未来の姿だ。それだけ高齢化と労働力不足に対応した定年延長は時代的流れだ。中国さえ今年から15年かけて段階的に定年を延長し始めた。韓国もやはり2033年から国民年金受給年齢が65歳に高まるだけに定年調整は避けられない。しかし賃金構造はそのままにして年齢だけ引き上げる方式は現実性がない。
いま必要なことは、日本のように賃金体系改編と選択可能な雇用延長方式を結合した現実的で持続可能な解決策だ。労働界が要求する年内立法が実現しても新しい制度施行は早くても2027年だ。対立だけ繰り返してゴールデンタイムを逃すのではなく、高齢社会の労働市場構造に合った合理的な選択肢を急いで用意しなければならない。
2025/11/09 13:27
https://japanese.joins.com/JArticle/340782