「10年前には想像もできなかった手口」 国際刑事警察機構が警告した「ニュー・レベル詐欺」=韓国

投稿者: | 2025年11月13日

「最近の詐欺犯罪は“新たな段階(new level)”に入った」

「世界の警察」と呼ばれる国際刑事警察機構(インターポール)金融・反腐敗犯罪局のニコラス・コート局長の警告だ。コート氏は11日、ソウル西大門区(ソデムング)の警察庁で行われたインタビューで、最近問題となっているカンボジアなどの犯罪団地(ウェンチ=園区)について言及し、「国境を越えた詐欺犯罪が効率化・迅速化・大規模化しながら急速に変化している」と指摘した。金融詐欺犯罪の専門家である彼は「技術の発展により犯罪の追跡がますます難しくなっている。国際的な協力を強化してこそ、より多くの被害者を救済することができる」と付け加えた。

 コート氏は、インターポール、アセアナポール(東南アジア諸国連合10カ国の警察による共同体)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の3つの国際機関と、米国・中国・日本・カンボジアなど16カ国が協力する超国家的な詐欺・人身売買対策作戦「ブレーキング・チェーンズ(Breaking Chains・鎖を断ち切る)」に関する第1回会議に出席するため、11日から12日までの2日間、ソウルを訪問した。今回の会議では、各機関が組織犯罪事件24件に関連する手がかりなど計75件の資料を共有し、被疑者の検挙や送還に関する協力案を協議した。以下はコート局長との一問一答。

–組織的な詐欺犯罪が急速に進化し、深刻な社会問題になっている。

「技術の発展に伴い、詐欺犯罪のトレンドは3つの点で急変している。第1に、犯罪が『効率化』しているということだ。人工知能(AI)や大規模言語モデル(LLM)を利用することで、犯罪者がより簡単に被害者を欺ける環境になっている。第2に、犯罪の『迅速化』だ。犯罪資金はデジタル金融や暗号資産の技術により、よりスピーディに洗浄され、追跡も難しくなっている。第3に、犯罪のスケール(規模)が『大規模化』しているということだ。最近問題になっている「スキャム(詐欺)センター」は、その内部で犯罪と生活の両方が営まれており、10〜20年前には想像もできなかった形態だ」

–韓国では、カンボジアにある犯罪団地「ウェンチ」への懸念が大きい。インターポールではどの程度深刻に見ているのか。

「犯罪団地は詐欺犯罪を『新たな段階』へと引き上げたという点で非常に深刻だ。誘拐の被害者が詐欺犯罪者となり、犯罪者が再び強制労働の被害者となるという構図が生まれている。特に人身売買と詐欺、サイバー犯罪が互いにリンク(連結)し合う場所になっているため、さらに問題だ。東南アジア地域では特に深刻だが、世界の他の地域でも発生する可能性がある。アフリカでも確認されている」

–今回の国際協力作戦で、犯罪団地の掃討にどの程度の成果を期待しているか。

「国際協力には本質的な難しさがあるのは事実だ。各国の文化的・法的・地政学的な違いが想像以上に大きいためだ。たとえば、ある国では犯罪であっても、別の国では犯罪とみなされない場合がある。また、国家間で情報を共有しても信頼が足りず協力が成立しないこともある。しかし、今回の作戦会議を通じて、各国の担当者が同じテーマのもとに集まったこと自体、相互の信頼レベルが一段階高まったと考えている。作戦を継続していけば、多くの事件を解決し、被害者を救済するなどの成果を挙げることができるだろう。インターポールは利用可能なあらゆるチャンネルとインフラを提供する」

–犯罪団地で主に行われている金融詐欺には、どのように対応しているか。

「最近では、犯罪収益がわずか5〜7日で複数の国の口座や暗号資産を経由する。追跡はさらに難しくなり、被害者に返還することも難しい。インターポールは、犯罪収益の洗浄の兆候をいち早くキャッチして『ゴールデンタイム』内に各国へ通報または凍結できる『アイグリップ(I-GRIP)』プロトコルを運用している。このアイグリップ・プロトコルは、以前インターポールが韓国と詐欺犯罪対策のために協力した『ヘチ作戦(operation HAECHI)』を通じて、現在の形を確立することができた。韓国が支援したヘチ作戦がなければ、現在のモデルはスタートしなかったという意味だ。韓国は国際金融犯罪の分野で先導的な地位を持っていると考える」

–今回の作戦で韓国に期待する役割は。

「韓国は地域内でリーダーシップを発揮している国だ。超国境的な詐欺犯罪対策のための『舞台(プラットフォーム)』を整えてくれたからだ。これまで各国が共有できなかった機密性の高い保安情報を積極的に共有する場が設けられ、今後は模範的な協力事例となることが期待される」

–今この瞬間にも、世界中で詐欺犯罪の被害者が増え続けているが。

「残念なことだが、被害者を責める認識はぜひなくなってほしい。ほかの犯罪とは違い、詐欺は被害者を責める傾向が強い。しかし、最近の詐欺はAIなど最新技術を活用しており、誰でも簡単にだまされてしまう可能性がある。警察当局が犯罪者を追跡するのと同時に、社会的にも被害者を責める意識をなくす努力が必要だ」

2025/11/13 15:29
https://japanese.joins.com/JArticle/341001

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)