イランのライシ大統領が19日にヘリコプター墜落で死亡したことに続き、20日にはサウジアラビアのサルマン国王(88)の健康悪化が伝えられて中東情勢の不確実性がさらに高まっている。
21日(現地時間)、イランのタスニム通信などによると、この日午前、北西部の東アゼルバイジャン州タブリーズの広場で開かれた葬儀行事には事故現場から運柩された死亡者を追悼するために市民が殺到した。22日には首都テヘランに位置したイランで最も大きなモスク「モサラ」で葬儀が開かれることに続き、ライシ氏らは23日、シーア派最大の聖地であるマシュハドに埋蔵される予定だ。
問題はイランの次期権力構図だ。イラン政府はこの日、6月28日に大統領補欠選挙を行うと発表した。死亡したライシ氏が同国の最高指導者ハメネイ師(85)の後継者として事実上ほぼ決まっていた人物だった点で、今回の早期大統領選挙は最高指導者の後継構図にも影響を及ぼすのは必至だ。
20日、米国ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」イラン局長のアリ・バエズ氏は「イランは体制内の不確実性を低くするためにライシを後継者として育てていたが、突然すべての計画がもつれて草案を再び描かなくてはならない局面」と説明した。現在、有力大統領候補としてハメネイ師の息子であるモジタバ師(55)の名前があがっているが、彼は大統領を経て最高指導者の位に上がることができると見る者も少なくない。だが、世襲統治は1979年の革命で建国されたイスラム共和国の設立趣旨に反するという点で論争が予想される。
また中東の別の覇権国家であるサウジアラビアにも権力継承イシューが飛び火する可能性もある。この日、国営SPA通信によると、サルマン国王は肺炎と診断されて病院で治療を受けている。
王位継承序列1位である息子のムハンマド・ビン・サルマン皇太子(39)が日本訪問を翌日に控えていた20日、これを電撃延期した。岸田文雄首相は訪問が延期になったムハンマド皇太子と21日オンライン会談を行い、原油供給やクリーンエネルギー分野などで協力を強化していくことを確認した。
ロイター通信によると、サルマン国王は2020年胆嚢除去手術を受けた後、数年間健康状態が良くなかった。サルマン国王は息子を皇太子に据えて、首相職まで任せて事実上国政を譲渡した状態だ。
ムハンマド皇太子はこれまで王位継承有力者を次々と粛清してその地位を固めてきた点で、一部ではイランに比べて相対的に不安要因は小さいだろうという観測もある。サウジ・イスラエル関係正常化の一環として米国が推進してきた米国・サウジ相互防衛条約交渉も近く妥結を控えた状態だ。
2024/05/22 06:57
https://japanese.joins.com/JArticle/318915