日本人歌手が中国での公演中に退場させられたり公演前日に中止されるなど「限日令」が本格化する中で無観客公演の動画をめぐる攻防戦が展開された。
中華圏メディアの報道を総合すると、先月28日に人気歌手の浜崎あゆみさんはインスタグラムとフェイスブックで翌日に予定された上海コンサートの中止を知らせた。
浜崎さんは先月30日夜、SNSに無観客コンサートの写真9枚を投稿し、「1万4000席の空席だが世界中のTA(ファン)の愛を感じられた。私にとって忘れられない公演のひとつになった」と明らかにした。中国からはアクセスできないインスタグラムとフェイスブックへの投稿には2日現在3100件以上のコメントが付けられた。「独裁は公演を防げるが、真のアーティストの公演と感動的な観客まで防ぐことはできない」「あなたは戦闘では負けたが戦争で勝利した」など激励コメントが大部分だった。
浜崎さんは先月29日夜には無観客公演の記事へのリンクとともに、SNSに「この記事にあるように、私達は昨日の中止要請の後、無観客の状態で一曲目からアンコールまで行ってから会場を後にしました」と投稿した。2日現在この投稿はSNSで閲覧できない状態だ。
中国は反転を試みた。1日に自身を浜崎さんの上海公演のカメラマンと紹介した頼宗隆氏がウェイボーに謝罪文を上げてだ。彼は先月28日午後6時ごろ浜崎さんの舞台のリハーサル写真を密かに撮影し中国版ティックトックの抖音に投稿したと主張した。続けて「多くのメディアがこの動画を拡散し浜崎さんが無観客の公演会場で1人で公演したというフェイクニュースをまき散らした」と主張した。頼氏は「リハーサル中の写真と動画撮影、SNSへの投稿を禁じるという規定に重大に違反した。これを深く遺憾に考え正式に謝罪する」と付け加えた。
頼氏の謝罪が投稿されると、中国のオンラインメディア澎湃や第一財経などは「いわゆる浜崎あゆみの無観客コンサートはフェイクニュース、リハーサルを盗撮したカメラマンが正式に謝罪した」と一斉に報道した。中国のネットユーザーはこれに対し「自作劇だったとは、信じた人も多いのに」「恥を知らない小日本」など浜崎さんを非難するコメントを上げた。
一方、中国では自省論も提起された。国粋主義性向の胡錫進元環球時報編集長は先月30日ウィーチャットに「中国の企画会社の契約違反とすでに投じた準備費用などすべて中国に損失を招くだろう」と懸念した。
胡氏は先月28日に起きたアニメ『ワンピース』主題歌を歌った日本人歌手大槻マキさんが上海公演の途中で突然照明が消され退場させられた事件を過度な対応だったと批判した。胡氏は先月29日、SNSに「歌の途中で公開的にステージから追い出したのは無礼で行き過ぎた行動」だったとし、「日本国民を日本政府や右翼と完全に同一視してはならない」と主張した。ただ当局は胡氏の投稿を検閲で削除した。
中国当局は答弁を回避した。中国外交部の林剣報道官は1日、上海で公演中の日本人歌手が退場させられ、前日の公演が中止されたことに対し外交部の立場を聞かれると「社会的で商業的な活動の具体的な状況と原因は主宰側に問い合わせてほしい」と答えた。
2025/12/02 17:22
https://japanese.joins.com/JArticle/341697