韓国金産分離緩和最大の受恵者はSKハイニックス? 「必ずしもそうではない」

投稿者: | 2025年12月11日

半導体など先端産業を支援するための韓国政府の「金産分離規制緩和」が差し迫る中で「特定大企業に向けた緩和ではないか」との議論が浮上している。李在明(イ・ジェミョン)大統領は10日、「AI時代の韓国半導体のビジョンと育成戦略報告会」を主宰した席で「金産分離を損ねない範囲で実質的対策をほぼまとめた」と明らかにした。

財界の注目を集めたのは「ひ孫会社の株式100%保有義務」を50%水準に緩和する案だ。公正取引法第18条で定めた要件により一般持ち株会社構造の企業の孫会社が子会社(ひ孫会社)を作ったり買収するにはその株式を全額自己資金で確保しなければならない。

 SKハイニックス、LGエナジーソリューション、GSカルテックスなど主要大企業の孫会社がこの条項に縛られている、

◇AIが打ち上げた規制緩和論

SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は「竜仁(ヨンイン)ファブを作るだけで600兆ウォンの投資が必要だ。人工知能(AI)時代の投資規模に耐えられる新たな制度を用意してほしい」と要求してきた。現行の規制の下では600兆ウォンを全額自己資金で負担するのは困難であることを表明した形だ。

実際にSKハイニックスはこの日、資金調達に向けた米国株式預託証書(ADR)発行の可能性に対し「自己株式を活用した米国証券市場上場を検討中」と公示した。ADRは外国企業が既存の株式を米国の預託機関に預けて発行した証書で、米国の投資家が株式のように取引でき外国資本をより簡単に誘致できる。SKハイニックスの自社株のうちADR上場が可能なのは2.4%、9兆ウォン相当だ。

業界では金産分離要件が緩和される場合、SKグループが最も恩恵を得られるとの見方が出ている。SKグループは持ち株会社であるSKが中間持ち株会社であるSKスクエアを支配し、SKスクエアはSKハイニックスの大株主だ。SKハイニックスは持ち株会社の孫会社に当たる。今回の規制が緩和されればSKハイニックスは株式を50%だけ持って外部資本を誘致し特定目的会社(SPC)を作ることができる。業界関係者は「このSPCが工場を作って生産施設をSKハイニックスに長期賃貸する方式で活用できるだろう」と話した。持続的に大規模投資が必要なAIと半導体事業、孫会社構造を同時に抱えるSKハイニックスの立場では文字通り活路が開かれる形だ。

◇「ワンポイント特恵?」vs「産業全体見なければ」

これに伴い「ワンポイント特恵集中」議論も少なくない。公正取引委員会の朱丙起(チュ・ビョンギ)委員長が「(金産分離緩和は)いくつかの会社の願いにすぎない」と線を引いたのもこうした議論をあおった。ただ世界市場の現実を考慮すれば現行の金産分離規制は調整が避けられないという声が多い。外部資本を誘致してリスクを分散する合弁方式がすでに先端産業投資方式として一般化したためだ。代表事例が米国のスターゲートプロジェクトだ。チャットGPT開発会社であるオープンAIと技術企業オラクル、日本の投資会社ソフトバンクが組んで次世代AIインフラ構築に向け5000億ドルという天文学的資金を投じる。超大型プロジェクトであるほど持ち分を分け合うのが必須という意味だ。

世宗(セジョン)大学法学科のチェ・スンジェ教授は「半導体だけ見てもウエハー、露光装備、素材、物流につながる大規模供給網産業。先端産業規制緩和の恩恵は特定企業ではなく生態系全体が分かち合うことができるだろう」と話した。続けて「数十年を見据えて先制投資しなければならない先端産業の『銭の戦争』で生き残るのは一企業の問題ではなく国家技術主権と競争力の問題」と付け加えた。

韓国経済人協会もやはり公取委に先月提出した資料で「持ち株会社系列会社の持ち分率を規制する国は事実上韓国だけ。第4次産業革命時代に買収合併が振るわない理由はこうした構造的制約にある」と指摘している。

最初から規制緩和を適用される産業の範囲を広げるべきという指摘も出る。韓国10大グループのある役員は「新事業転換はすべての企業の生き残り戦略。企業型ベンチャーキャピタル規制のようにさまざまな条件が付く部分的緩和よりも全産業が活用できる先端産業資金調達体系が必要だ」と話した。

2025/12/11 11:25
https://japanese.joins.com/JArticle/342053

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