中国のレアアース(希土類)輸出規制が長期化し、韓国企業がサプライチェーンの多角化に死活をかけている。レアアースエコシステムを事実上掌握した中国が“資源の武器化”に乗り出した状況で、新たな供給先の確保に失敗すれば、存続が危機に直面しかねないためだ。
11日、業界によると、大邱(テグ)に拠点を置く永久磁石生産企業のソンリム先端産業は最近、豪州レアアース生産企業A社と契約を結び、豪州産レアアース2000トンの供給を数年間受けることにした。マレーシアで精錬・加工を経て韓国に入ってくるこのレアアースには、電気自動車モーター用永久磁石の生産に必須の軽希土類であるネオジム(Nd)はもちろん、近年その重要性が高まっているジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)などの重希土類も含まれている。
ソンリム先端産業は、このレアアースで製造した永久磁石を欧州の完成車メーカーに納品する数千億ウォン規模の契約も最近締結した。「オーストラリア(採掘)→マレーシア(精錬・加工)→韓国(永久磁石製造)→欧州(電気自動車製造)」へとつながる新たなグローバルサプライチェーンが構築された形だ。
ソンリム先端産業だけでなく、永久磁石を研究・開発中の韓国中小企業も、中国以外の調達先を模索していることが分かった。業界関係者は「中国の輸出規制が長期化しているため、供給網の多角化は生き残りのために必須だ」と述べた。
中国は今年4月4日から、サマリウム・ガドリニウム・テルビウム・ジスプロシウム・ルテチウム・スカンジウム・イットリウムなど重希土類7種について、輸出時に政府の許可を義務化した。表向きは貿易戦争の相手国である米国を狙ったものだが、許可制という特性上、韓国・日本など主要な永久磁石生産国もすべて影響を受けている。
重希土類は中国依存度が97%に達し、代替生産国を見つけるのが難しい。中国依存度が70%で、ベトナムなどで代替が可能な軽希土類よりも重要性が大きい。重希土類は永久磁石の製造過程で約10%の比率で添加され、耐熱性と磁性を高める役割を果たす。業界関係者は「規制以前は1〜2週間でトン単位の調達が可能だったが、今は4〜5カ月かかり、物量も数百キロ規模に減った」と伝えた。
中国は11月8日に施行予定だったレアアース設備の輸出制限を、米中首脳会談を機に1年猶予したものの、レアアースそのものの輸出規制は維持している。中小企業だけでなく、現代(ヒョンデ)自動車グループもレアアースの備蓄に乗り出してはいるが、輸出規制以前のように安定した物量を一度に確保するのは容易ではないという。
このため、政府がもっと積極的に動くべきだという声も出ている。米国地質調査所(USGS)によれば、中国のレアアース埋蔵量は2023年基準で4400万トンと世界1位だが、ベトナム(2200万トン)・ブラジル(2100万トン)・ロシア(1000万トン)なども相当な埋蔵量を有している。米国も180万トンの埋蔵量がある。しかし李明博(MB)政権時代の“資源外交”失敗の後遺症で、海外鉱山開発に政府が消極的だという指摘が多い。
日本政府は2023年、世界2位のレアアース生産企業である豪ライナス(Lynas)に2億豪ドルを投資し、長期供給契約を締結した。今年3月にはフランスのカレスター(Carester)に1億ユーロ(約183億円)を投資し、2027年からレアアースの供給を受けることにした。現在、日本の中国産レアアース依存度は60〜70%で、2010年の90%に比べ減少した。
韓国材料研究院のキム・テフン博士は「個々の企業が海外鉱山の確保に乗り出すには限界があるため、政府が海外政府・企業と接触し、道を開いてやらなければならない」と述べた。
2025/12/12 07:58
https://japanese.joins.com/JArticle/342080