「野生のクマを食べて被害を減らそう」…日本の「ジビエ」文化は大丈夫か

投稿者: | 2025年12月13日

 「最高のおもてなし料理です。肉質もそうだし脂の質もそうだし、おいしさもあるし、もたれない」

 日本の長野のある肉専門店の代表は今月11日、日本の地域放送「長野放送」にクマ肉をこう説明しました。彼は「うちの場合は『山獲り』といって、山でとってくるクマとかイノシシなので、人里とか街に出てきたものではなく、まるきり別物」だと自慢するように言いました。この店でクマ肉を味付けして売っている製品の値段が150グラム当たり1700円だというから、かなり良い牛肉の値段に匹敵します。

 最近、日本でクマの肉が注目されるのは、意外と人を襲うクマが多くなったことが背景になっています。クマを積極的に捕獲した後、これを食用に活用しようという動きが広がっているからです。毎年、日本で熊被害のニュースは、普通の政治ニュースの代わりに放送や新聞のヘッドラインを飾ることがあるほど、かなり深刻です。

 今年、このニュースが始まったのは、1月9日に北海道に足の大きさが最大40センチ、体長2メートルと推定されるクマが出没してからでした。冬に冬眠しないクマが北海道をはじめ、秋田、神奈川など地域を問わず出没し、家の玄関や車庫だけでなく、家の中や大型商店、駅などに現れて、人々を脅かしました。日本農業新聞が8日に集計した今年4~10月の熊による人命被害の状況によると、被害者が196人にもなり、このうち死者も12人にのぼります。地方自治体の力だけでは熊たちの脅威に対処が難しくなったことを受け、日本では警察に自衛隊までクマ退治「作戦」に投入されています。民家を襲うクマを射殺するために、民間の専門猟師をより積極的に養成すべきだという声も高まっています。

 このようにクマたちが思いがけず集中捕獲され、改めて注目されるのが野生動物を狩って料理する「ジビエ」(Gibier・フランス語で狩猟肉)です。自衛隊や警察が捕るクマではなく、日本で狩猟資格を持つ民間人の「ハンター」たちが捕ったクマを料理に積極的に活用しようというものです。日本では、野生の料理はなかなか食べられませんが、かなり高級な料理とされています。実際、日本の富山県のウイスキー会社若鶴は、自社運営のレストランで地域名を冠した新メニュー「つきのわ熊のストロガノフ」を提供し始めました。この地域で柔らかく煮た肉に、主にクリームソースをかけて食べるロシア風のストロガノフをクマ肉で作るのです。この会社は「昨年度は猪肉を使用したが、今年はスペシャル新メニューとして、熊肉を使用した『つきのわ熊のストロガノフ』を用意した」と紹介し、「レストランでは熊の『一頭買い』により、あらゆる部位を無駄にせず使用した、ジビエ料理の中でも貴重な逸品を、ぜひご賞味ください」と広報している。札幌市でも「Les KaneKIYOs」というフランス料理店が猟師たちと直接取引を通じてヒグマの肉を買い付け、「ひぐまのコンソメ」「ヒグマのロースト」「ヒグマの煮込み」といった料理を提供するそうです。このレストランのシェフ、藤本さんは毎日新聞に「恐ろしくて凶暴というイメージから想像するクセの強さはない」とし、「せっかくの命を無駄なくおいしく食べてもらいたい」と語っています。

 人々に被害を与えてきたクマを狩って食用として活用することについては意見が分かれるようです。人々は自然が育てたものを食べて生きていますが、クマもやはり自然が育てたものなので、感謝の気持ちを持って食用として喜んで利用できるという主張があります。先ほどご紹介した肉類専門店の代表は「山の恵みとして、こんなに仕上がったクマ肉なんですから食べてみませんかと。そういうことを考えてもらってもいいのでは」と語っています。 日本には国会議員が作った「鳥獣食肉利活用推進議員連盟」というのもあります。今月14日、日本の石破茂元首相がこの行事に参加し、クマ肉を前にして「これはワインに合うね」とし「ジビエ文化を日本に根付かせ、結果として鳥獣害が減るといい」と述べたこともあります。 一部では流通過程の衛生を問題にして野生のクマを食用にすることに反対する人もいます。また全く違う形で、「日本熊森協会」のようなところは熊が人に被害を与えないように生息地を厳しく管理し、捕獲自体を禁止するよう求める人たちもいます。

 どんな理由であれ、今年は日本社会で「クマ」が特に大きく注目されました。12日には日本漢字能力検定協会が毎年年末に発表する「今年の漢字」にクマを意味する「熊」が選ばれました。協会が一般の人たちにインターネットとハガキでもらった「今年の漢字」応募作18万9122票の中で2万3346票で最も多くの得票をしたそうです。この日、京都の有名なお寺、清水寺の森清範貫主が横・縦1.5メートルの大きさに漢字「熊」の字を素晴らしい腕前で揮毫しました。「熊」が今年の単語になったのは、全国各地に出没し、被害を起こし、トラブルを起こしたためとみられます。ちなみに「熊」と180票差の2位はコメを意味する「米」でしたが、日本でコメの価格が急騰したことや、アメリカでドナルド・トランプ大統領が就任してから関税問題などで大きな影響力を示したためとみられます。アメリカの漢字表記を韓国で美しい「美」と書くのとは違い、日本では米の「米」を使います。

2025/12/12 19:27
https://japan.hani.co.kr/arti/international/54954.html

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