朝鮮新報「米安保戦略、北朝鮮が抜けている点が重要な部分」…我田引水的解釈への懸念

投稿者: | 2025年12月18日

在日朝鮮人総連合会の機関紙・朝鮮新報は、トランプ米政権が最近公表した国家安全保障戦略(NSS)について、「最も重要な点は、朝鮮(北朝鮮)に関する言及が一切ないという事実だ」と指摘した。官営メディアではなく対外宣伝媒体を通じたのは、政治的負担の少ない形でNSSへの初の反応を示し、米国の対北朝鮮姿勢を探る狙いがあるためとみられる。

朝鮮新報は18日、コラム形式の記事を掲載する「メアリ」欄で、「朝鮮(北朝鮮)について言及することは、米国の朝鮮半島非核化政策が完全に失敗したことを自ら認めるに等しいためだ」と述べ、このように主張した。朝鮮新報は在日親北団体が発行する媒体であり、北朝鮮当局や朝鮮中央通信、労働新聞などの官営メディアは、現時点でNSSに対する公式な立場を示していない。

 朝鮮新報はさらに、「今回の文書は国際情勢に対する分析がほとんどなく、戦略報告書と呼ぶには無理がある」とした上で、「米国第一主義で一貫しており、自己矛盾であり、事実の歪曲だ」とNSSを厳しく批判した。

今回のNSSでは、トランプ第1期政権時の2017年や、バイデン政権時の2022年とは異なり、「朝鮮半島の非核化」への言及がなかった。北朝鮮そのものへの言及もなく、トランプ第1期政権では17回、バイデン政権では3回言及されていたのと対照的だ。

朝鮮新報はドナルド・トランプ大統領個人に対する評価にも踏み込んだ。NSSで「トランプ大統領を『平和の使者』のように描き、『実績』を強調しているのは、あまりにも過大評価だ」と指摘する一方、「多極化を認め、冷戦後に米国の支配層が恒久的な世界一極支配を正当化してきたのは誤りだったことや、対中国政策の失敗を認めた点は意義が大きい」とも評価した。今回のNSSで、トランプ政権が従来の政権の対中戦略を失敗と位置付けたのは事実だが、北朝鮮がこれを我田引水的に解釈し、情勢を誤って判断する恐れがあるとの指摘も出ている。

NSSが米国の対外政策の大きな方向性を示す文書であることから、北朝鮮がその全体的な方向性を注視している様子もうかがえる。朝鮮新報は「(NSSでは)中ロ両国を悪魔化したり、過度に敵視する表現は避けている」とした上で、「韓国と日本は、主に中国の太平洋進出を阻止するための突撃隊として利用されようとしている」と主張した。米国はNSSで、第1列島線(日本の九州〜沖縄〜台湾〜フィリピンを結ぶ海上防衛線)内における韓国や日本など同盟国の役割を強調している。

2025/12/18 14:30
https://japanese.joins.com/JArticle/342343

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)