日本高官の「核武装」発言に朝中が強く反発…米国は遠回しに「懸念」表明

投稿者: | 2025年12月22日

 高市早苗政権の安保政策担当高官が「日本も核兵器を保有すべき」とした発言の波紋が広がりを見せている。日本国内でも元首相らが「非核三原則」を揺さぶる行為だと指摘する中、周辺国の北朝鮮と中国が強く反発しているだけでなく、同盟の米国も適切でない態度だという点を遠まわしに指摘した。

 日本の主要メディアは21日、米国務省報道官が日本の首相官邸幹部の「日本核武装論」発言と関連し、「米国にとって日本は核不拡散と核軍備管理の推進において世界的リーダーであり、(米国の)重要なパートナーだ」と述べたと報道した。同報道官は「米国と日本を含む同盟国を防衛するため、米国は世界で最も強固で信頼でき、近代的な核抑止力を維持する」とし、「日米同盟はインド太平洋地域における平和と安全の礎」だと強調した。

 この日の米政府関係者の発言は最近、高市首相の側近であり安保政策担当高官が「日本は核兵器を保有すべきだ」と述べたことに対する懸念を伝えたものとみられる。これに先立ち、共同通信と朝日新聞、毎日新聞によると、首相官邸の安保担当高官は18日、「日本は核兵器を保有すべきだ」とし、「北朝鮮など日本周辺国が核兵器を多数保有しているが、最後に自国を守るのは自国だ」として「核武装の必要性」を強調した。ただ、高市首相が歴代日本政府の「非核三原則」を見直す可能性については、「(首相と)話していないので、分からないが、そういった考えはないと思う」と語った。また、「非核三原則の見直しは大きなポリティカルキャピタル(政治的資産)が必要になる。現実的には拡大抑止としてアメリカの核の傘に守ってもらう必要がある」とも発言したが、波紋はなかなか収まらない。1967年の佐藤栄作首相時代に作られた非核三原則は「核兵器を持たず、作らず、持ち込まず」ことを内容としている。日本の強硬保守層は、これが軍事力の拡大などに足を引っ張っているとみている。共同通信はこの日の状況について、発言は取材陣15人程度が集まった席で「オフレコ」を前提に行われたが、現場にいた記者たちは発言をした者が(安保関連)政策を助言する立場にあるという点と、内容の重大性などを考え、非公開取材の規則に基づき匿名で報道したと明らかにした。

 日本の時事通信は、米政府関係者がこの問題に言及したのは、「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現を目指してきた日本側に対し、従来の姿勢を堅持するようけん制する意味合いがあるとみられる」と解釈した。

 同盟国の米国が遠まわしに「警告とも取れる発言」をしたのとは違い、日本と対立している中国と北朝鮮などは報道に強く反発している。

 北朝鮮官営の「朝鮮中央通信」は21日、北朝鮮外務省が日本の一部で北朝鮮の核能力の高度化などと関連して頭をもたげる独自核武装論と関連し、「人類に大災害をもたらすことになるだろう」と批判したと報道した。北朝鮮外務省は日本研究所長の談話として、日本政府関係者の核武装言及を「挑発的妄言」としたうえで、「いくらでも核武装を実現し、再び侵略戦争の導火線に火をつけることができるならず者国家であり、戦犯国である日本の手中に核兵器まで握られた場合、アジア諸国の頭上に恐ろしい核の惨禍が降りかかり、人類が大災害に直面することになるだろう」と主張した。これに先立ち、中国外務省の郭嘉昆報道官は19日、この問題について、「もし事実であることが明らかになれば、状況は非常に深刻になるだろう」とし、「(このような言動は)日本側の右翼保守勢力が軍国主義を復活させ、国際秩序から抜け出し、国家再武装を加速化しようとする野心を表わしたものだ」と批判した。

 日本政府は公式立場ではなく、オフレコを前提に「私見」を述べただけという立場だ。 日本政府の報道官を兼ねる木原稔官房長官は波紋が広がった翌日の定例記者会見で、「政府としては非核三原則を政策上の方針として賢持している」と述べた。 しかし同日、中谷元前防衛相は「(政府の立場と関連して)個人的な立場を軽々に言うことは控えるべきだ」とし、事実なら看過できないとして、(首相は)にしかるべき対応を求めた。

 与野党の政界からも「不適切な発言」という糾弾する声があがっている。過去に首相を務めた野田佳彦立憲民主党代表は「個人的な意見やオフレコとはいえ、安保政策の提言を行う方がそのような考えを持っていること自体に問題がある」として、「早急におやめいただくことが妥当だ」と批判した。2カ月前まで連立与党を組んでいた公明党の斉藤鉄夫代表も、「核保有は日本の外交的孤立を招くだけでなく、かえって日本の安全保障環境を劇的に悪化させるもの」だとし、「罷免(ひめん)に値する重大な発言」だと述べた。

 政権与党の自民党内部でも、不適切な発言であり、現実性もない話だという批判の声があがっている。前政権を率いた石破茂前首相は20日、ある放送に出演し、「我が国が核を持てばNPT(核拡散防止条約)やIAEA(国際原子力機関)からも出て行かないといけなくなる」とし、「こうなれば、日本のエネルギーを支えている原子力政策そのものが成り立たなくなる」と指摘した。さらに、「核を持つことの安全保障上の意味は否定しない」としつつも、「(実質的には)日本に絶対プラスにならない」と指摘した。豊下奈良彦元関西学院教授(国際政治)は朝日新聞に、NPTは米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国を核保有国と認め、日本などほとんどの国は核兵器開発や保有が禁止された状態で非核化に役割を果たしてきたとし、「日本が核保有をする場合、NPTから脱退しなければならない。日本の脱退を機に(現在のNPT体制に不満を持つ)国々で『ドミノ脱退』が起こり、NPT体制が崩壊するだろう。 さらに、「世界は『核の無秩序状態』に陥り、日本の安全はかえって脅かされることになる」とし、(核保有発言は)国際社会で日本に対する警戒心を高める恐れがあり、国益にも合致しないと付け加えた。

2025/12/21 19:21
https://japan.hani.co.kr/arti/international/55021.html

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