「最終的かつ不可逆的に解決すると確認した」(2015年12月28日)
10年前、当時の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官と岸田文雄外相は韓日慰安婦合意文を公開し、このように強調した。しかしその後は「最終的かつ不可逆的」という表現が色あせる10年だった。政権交代と共に合意文は形骸化し、合意文発表当時に生存していた46人の元慰安婦は現在6人だけが残っている中、両国政府はこの問題の解決策をめぐり一歩も前進できずにいる。
朴槿恵(パク・クネ)政権は慰安婦問題に対する日本首相の初めての謝罪と反省という点の意味を強調した。さらに▼日本政府の責任痛感▼日本政府の予算での慰安婦支援などを含めて「日本から受け取ることができる最大水準」と述べた。
しかし当時の野党「共に民主党」と韓国挺身隊問題対策協議会(正義記憶連帯の前身)などの市民団体が「被害者排除」「屈辱交渉」として反対デモをし、世論も悪化した。両国がソウル日本大使館前の少女像移転問題を解決することにした内容も論議を呼んだ。2017年、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「国民が受け入れられない」として撤回を示唆し、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官直属タスクフォース(TF)の「慰安婦合意」調査(2017年12月27日に報告書発表)、和解・癒やし財団の解散(2018年11月21日)などで慰安婦合意は事実上の破棄状態となった。
文在寅政権の態度に日本は強く反発した。日本外務省は数回にわたり「合意維持以外に別の選択肢はない」とし、再交渉不可および韓国政府の合意履行を求めた。韓日慰安婦合意を評価した米国も両国関係の悪化を懸念して韓国に冷ややかな態度を見せた。
負担を感じた文在寅政権は結局、2018年1月に「再協議の要求はない」と明らかにしたが、新しい代案を出せなかった。その間、合意当時に46人が生存していた生存女性は現在6人に減った。日本政府が出捐した基金10億円は当時の生存女性46人のうち35人に44億ウォンが支払われ、残りの基金57億ウォンは凍結した状態だ。政府関係者は「基金を日本側に渡せば合意破棄になりかねず困惑している問題」と話した。
現在、両国の間では「あえて手をつけない」という暗黙的な均衡が形成された状態だ。動いても政治的利益がないという判断からだ。李在明(イ・ジェミョン)大統領も8月21日の読売新聞のインタビュー記事で「韓国の国民として受け入れがたい過去の政府の合意だが、国家間の約束であるため覆すのは望ましくない」と明らかにした。茂木敏充外相も23日の会見で「韓国政府も公式合意として尊重するという立場だ。残された課題を解決していきたい」と原則的な立場だけを述べた。
交渉を主導した当時の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は28日、中央日報との電話で「当時としては最善の交渉だった」と振り返った。続いて「おばあさんらが1人でも多く生きている間に日本の謝罪と支援を受けるというのが朴槿恵元大統領の考えだった」とし「おばあさんらの4分の3が同意した内容だったが、一部の妨害で一方的な主張が拡大再生産された。その結果、何が得られたのか分からない」と遺憾を表した。
2025/12/29 08:13
https://japanese.joins.com/JArticle/342704