聖書は神が自らの姿に似せて人間を創造したと語る。人間は自らの姿を模してロボットを創造した。英単語だが普遍的な用語となった「ロボット(Robot)」はチェコ語の「ロボタ」(robota、苦しく単調な仕事をする労働者)に由来する。チェコの劇作家カレル・チャペックが1920年に発表したSF戯曲『R.U.R.ーロッサム・ユニバーサル・ロボット』で、人間の労働を代わりに行う人造人間を指す新語として登場した。その後1世紀も経たないうちに、夢のような想像は日常の現実となった。
『ロボ・サピエンス・ジャパニクス(Robo sapiens japanicus)』(2017年原書刊)は、米国の人類学者であり美術史家のジェニファー・ロバートソンが、ロボット先進国である日本のロボット工学と産業に焦点を当て、人間と技術の望ましい関係を考察した書籍だ。ロバートソンは、日本社会の根深いジェンダー規範、家族主義、民族主義、国家主義、健常者中心主義を省察しながら、ロボットの過去と現在、未来に関する社会文化的な問いを投げかける。これは日本だけでなく、技術工学と人工知能(AI)の融合時代を迎える人類全体の問題だ。
著者の履歴と研究分野が興味深い。1953年生まれのロバートソンは、大学の学部で美術史、大学院で人類学を学んだ後、母校コーネル大学を経てミシガン大学で教授を務めた。大学に在籍しながら日本学、女性学、歴史学、美術デザイン、ロボット工学など多様な分野で研究と教育を主導した。戦後日本の高度成長期に東京近郊で幼少期を過ごした経験を含め、20年以上日本に居住し、戦後半世紀にわたる日本の変貌を目の当たりにしてきた。こうした経験に基づき、視覚人類学、都市研究、植民地主義と帝国主義、ジェンダーとセクシュアリティ、優生学と生命倫理、ロボット工学、日本現代美術と大衆文化、博物館など、幅広い領域にわたり日本を研究してきた。学術誌『クリティカル・アジアン・スタディーズ』の日本編集長を務め、現在は東京大学国際高等研究所(UTIAS)の兼任研究員でもある。
『ロボ・サピエンス・ジャパニクス』は『先住民と移民:日本の都市の形成と再形成』(原題)、『踊る帝国主義: 宝塚をめぐるセクシュアルポリティクスと大衆文化』(日本語題)に続く著者の三つ目の著作。著者の経歴からして、人間型ロボット「ヒューマノイド」への関心は自然だ。英語版原著の副題が『ロボット、ジェンダー、家族、そして日本国家』(Robots, Gender, Family and The Japanese Nation)であるのも同様だ。著者はロボットを「センサー、レンズ、ソフトウェア、遠隔通信機、動作装置、バッテリー、合成素材と繊維などの技術を利用し、人間の監督(遠隔操作)のもとで、あるいは自律的に環境と相互作用できる、異なる各技術の集積体」と定義する。現在のロボットのほとんどは、製造業の現場で使用される産業用ロボットだ。製造業ロボットの密度は韓国が1位で、被雇用者1万人当たり932台のロボットを保有(2021年基準)している。シンガポール(605台)と日本(390台)が2、3位と続く。
産業用ロボットとは別に、ヒューマノイドロボットに対する人間の夢は冷めることがない。大衆文化から先端産業技術に至るまで、ヒューマノイドの想像と開発の最先端を走るのが日本だ。日本の漫画の巨匠・手塚治虫が『鉄腕アトム』を発表したのは1951年。韓国では『宇宙少年アトム』として知られる。アトムは自身より年下のロボットの両親とロボットの妹まで持つ、れっきとしたロボット家族の長男だ。ヒューマノイドは二つの基準を満たさなければならない。身体が人間と同じように頭、腕、胴体、脚を備えていること、そして人間の生活環境で人間と同じように動くこと。ロボットに生物学的な性(セックス)があるはずがない。ところが、日本のヒューマノイドの特異な点は、ほとんどが性別を明らかにしていることだ。外見はもちろん、与えられる基本任務も人間の伝統的な家父長制における性的役割に沿っている。ロボットさえも「ジェンダー」規範に従属しているという意味だ。男性ロボットは「アンドロイド」、女性ロボットは「ガイノイド」と呼ぶ。これについて著者は、ヒューマノイドが「文化的性器」を備えられたと述べている。
現在、ロボット先進国である日本の大衆感情には外国人労働者よりもロボットのほうが良いという認識もある。特に介護労働の場合、移民労働者とは異なり、ロボットには文化的な違いがなく、東アジア諸国との歴史的なあつれきもないという。実際、いくつかの世論調査では、高齢者は外国人よりロボットの介護者をより快適に感じていた。
2009年、日本の国立産業技術総合研究所は、通称「未夢(ミーム)」と呼ばれたガイノイド「HRP-4C」を発表した。身長160センチ弱、体重45キロのこの「女性ロボット」は、当時日本の20代女性の平均値に近いものだった。未夢はその年、大阪のファッションショーでウェディングドレス姿で公開され注目を集めた。著者は未夢を、日本で最初に行なわれたミス・コンテストの「ミス日本」の2009年版と指摘した。未夢の外見は「恥丘と豊満な胸、形よく自然な尻が強調されていたが、なぜロボットの身体にこのような解剖学的な特徴が必要だったのか」について、著者は日本のロボット工学者から答えを得られなかった。
著者は「ロボットとAIの設計者たちは、単に世界を反映した製品を作るのではなく、性別の特定の規範を強化し、正当性を与えている」と喝破した。しかし著者がより深刻だと捉えた問題は、日本のヒューマノイドがジェンダー規範を超え、家父長制の国家主義と帝国主義のノスタルジーを色濃く漂わせていることだ。
最長寿首相として日本社会の極右化を導いた安倍晋三は、2006年の任期初年度に「イノベーション25」戦略会議を設立した。「美しく革新的でロボット化された日本社会へと向かう下絵」を描く任務を担い、担当大臣として高市早苗が任命された。まさについ2カ月前の10月、日本初の女性首相となった極右志向の政治家、高市早苗だ。戦略会議は『伊野辺家の1日』という漫画でもビジョンを宣伝した。ロボット家族である伊野辺家は、夫婦、娘と息子、夫の両親で構成される拡大家族の典型だ。この家族の一員であり介護ロボットの「イノベーくん」は、家父長的な拡大家族の中で階層的な性役割を維持できるよう、女性の介護労働を補助する。
ミシガン大学でロバートソンに師事したチョ・スミ明知大学教授は「安倍政権が構想した『イノベーション25』は、実は明治維新と日本の帝国主義、戦時プロパガンダに登場した民族主義的で国家主義的な『日本的価値』を最新ロボット技術で実現した復古的ユートピア世界に近い」(本の解説)と指摘した。未来志向的で価値中立的に見えるロボット技術が、古い保守イデオロギーの想像力の中で実現される現実はシュールだ。その真の問題は「現存する社会問題と対立の解決を、社会的に努力して実現するのではなく、技術に対するSF的な楽観論で覆い隠してしまう」点にある。
それでは、AIとロボット工学、ひいては技術全般をどのようにしてより進歩的な方向へ、そして発展的な商品化へと導けるだろうか。著者は科学・技術・工学・芸術・数学の英単語の頭文字を取った「STEAM」と呼ばれる統合教育を強調する。性差別主義と性別の固定観念に対して問題提起し、真に進歩的な技術を活用して、文明化されヒューマニズムな応用を「想像工学」で実現する知的ツールを提供するものこそ、「芸術と人文学」(韓国語版序文)だからだ。
2025/12/26 13:14
https://japan.hani.co.kr/arti/culture/55078.html