日本国内で息を潜める嫌韓【東京支局長コラム】

投稿者: | 2026年1月11日

 10年前に東京都内のある書店で「終韓論」という書籍を目にした。その著者は「実際のところ日本にとって韓国はあってもなくてもよい存在」とし、その理由について「日本が韓国の主権を奪い、植民地支配を行ったというのはうそだ。本来韓国は1000年以上にわたり他国の属国だった」と主張していた。当時日本では嫌韓があふれていた。「脳フィシャル」(脳内オフィシャル=根拠のない主張)で韓国を侮辱するだけの書籍も数千部が売れ、運が良ければベストセラーになった。「在日特権を許さない市民の会(在特会)」という嫌韓団体の会員は集団で韓国食堂に押し寄せ「帰れ」と叫んだ。文字通りのヘイトスピーチで営業妨害でもあったが、日本の警察は特に動かなかった。

 Kポップスターを一目見ようと東京ドームに数万人の日本人が押し寄せる2025年からは想像もできない状況だった。東京のブランド通り「神宮前交差点」では韓国コスメブランド「d’Alba(ダルバ)」の黄色い屋外広告がすぐ目に付く。日本のセブンイレブンでは「キムチネンビ」などとハングルで書かれたカップラーメンが売られている。

 それならあの多くの嫌韓論者たちは全て消え去ったのだろうか。在特会は一時会員数1万4000人とされたが、現在は活動しているのかさえ分からない。ホームページはアクセスが遮断され、会長が誰なのかも不明だ。今韓国から日本を訪れる年間900万人以上の観光客は嫌韓どころか、その気配さえ感じられないだろう。

 12月20日に1枚の葉書が朝鮮日報東京支局に送られてきた。ごま粒のように小さい手書きの文字が裏表ぎっしり詰められていた。書き間違った文字は丁寧に修正されていた。送った人の住所も氏名もなかった。消印は群馬県で最後に「かしこ」とあった。ボールペンのインクがあちこちにじんだ、手あかが目に付くこの葉書には「関東大震災当時、日本の自警団による朝鮮人虐殺は正当だった」など嫌韓の自己確信論理ばかりが書かれてあった。

 「かしこ」さんはこの葉書にどれだけ時間をかけただろうか。同じように書いてみたところ、2時間かけても葉書1枚書けなかった。かしこさんはこのように毎月違ったテーマで葉書を送ってくる。おそらく10年以上は続いているだろう。朝鮮日報東京支局はかなり以前に同じビルの4階から3階に移転したが、宛先の住所は今も4階のままだった。

 BTS、TWICE、イム・ユンチャン、愛の不時着、イカゲーム、ジェントルモンスター、カンナムオンニなどの韓国文化に熱狂する日本人に会うとき、鼻が高くならないと言えばうそになる。しかし嫌韓葉書は文化的優越性という過剰に甘い感情に陥った記者の目を覚まさせる。嫌韓の思いを持つ数万人のかしこさんがいつ再び前面に出てくるか分からないからだ。

 日本論の古典「『空気』の研究」で分析されたように、嫌韓は今の日本の空気を支配する親韓を避けて一時的に姿を消している。隣国の日本にとって対等な隣国となる道は感傷的な文化的優越感に浸ることではなく、手書きのかしこさんとも対話ができる冷静さを維持することではないだろうか。かしこさんは今も厳然と存在する日本の隠れた顔の一つだ。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)支局長

2026/01/11 09:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/01/01/2026010180006.html

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