トランプ大統領の「略奪的覇権」と「泥棒政治」を耐える忍耐 【コラム】

投稿者: | 2026年2月28日

 「トランプ大統領の対外政策は相手国に対する略奪的覇権であり、その略奪的覇権の動機は結局トランプ大統領と周りの人々の私益である。米国と同盟国の関係は大きく変わるだろうし、韓国のためにどんな空間が開かれるか分からない。『忍耐とは、耐えられるものを耐えるのではなく、耐えられないものを耐えること』だ」

 ドナルド・トランプ氏が米国の大統領に再就任した後、さまざまな奇妙な行動にもかかわらず、トランプ氏にかけた一つの期待があった。永遠の戦争を終わらせるという約束であり、米国が自らの理念と価値を基準にした軍事介入や干渉を控えるという期待だった。

 それから1年が経ち、その期待は無惨にも打ち砕かれた。今年に入ってからも、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拉致を皮切りに、グリーンランド併合をめぐり欧州と物議を醸しており、最高裁の相互関税違法判決の後、即座に全世界の国々に対し15%の関税を再課しただけではなく、イランと緊迫した対峙が続いている。

 トランプ大統領の対外政策は相手国に対する略奪的覇権であり、その略奪的覇権の動機は結局トランプ大統領と周りの人々の私益としか説明できない。「フォォーリン・アフェアーズ」3・4月号では、これを「略奪的覇権国」と「泥棒政治」(クレプトクラシー)と定義している。

 ハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授は「略奪的覇権国とは、他国との関係を純粋にゼロサム方式で構造化しようとする支配的な大国を指す」と定義した。そのため、略奪的覇権国は双方により大きな絶対的利益をももたらすことよりも、相手よりも自分の分を多く得ることを好む。トランプ大統領の相互関税はその典型的な事例だ。

 トランプ大統領が主導する略奪的覇権は、権力者とその周辺の私的利益を追求する「泥棒政治」に基づいていると、バーナード大学のアレクサンダー・クーリー教授とジョージタウン大学のダニエル・ネクソン氏は指摘した。トランプ大統領のすべての対外政策を詳しくみてみると、大統領と周囲の私的利益が明らかになる。今年起きたことだけを見ても、あまりにも厚かましく露骨だ。

 ベネズエラ作戦の前後で、米国は押収した5億ドル相当の原油の販売契約を民間企業に譲渡したが、その中の一つである「ビトル(Vitol)」の上級トレーダー、ジョン・エディソン氏はトランプ大統領の選挙キャンプに600万ドルを寄付した大口の投資家だ。エディソン氏はホワイトハウスの会議にも出席し、今回の契約を成立させた。

 グリーンランドの合併は、トランプ大統領の友人で化粧品大手エスティローダーのオーナーであるロナルド・ローダー氏が提案した。第1次トランプ政権時代にデンマークへの秘密特使として派遣されたローダー氏は、グリーンランドのミネラルウォーター会社を共同所有している。ウクライナは今年1月、ローダー氏を含むコンソーシアムに最大のリチウム鉱山の採掘権を与えた。ローダー氏の婿であるケビン・ウォーシュ氏は1月に連邦準備制度理事会の議長に指名された。

 現在、ウクライナの停戦やイランの核問題など中東交渉を担当するトランプ大統領の不動産業界の同僚である特使スティーブ・ウィトコフ氏と婿のジャレッド・クシュナー氏は、ロシア・ウクライナおよび中東各国と深く結びついたビジネスネットワークを持っている。ウォールストリート・ジャーナル紙は、二人がウクライナ戦争以降凍結されていたロシア中央銀行の海外資産3千億ドルを解放し、宇宙探査、北極鉱物開発、エネルギー開発などの米露共同プロジェクトに活用しようとする事業に関与していると報じた。

 米国との貿易関税合意に基づき、日本が米国に投資する5,500億ドルのうち、最初に250億ドルが投資される「エントラワン・エナジー」は、社員がわずか5人の不透明な会社だ。最高経営責任者ワディ・ハブシ氏の父親はトランプ大統領と共和党に200万ドル以上を寄付しており、顧問委員のトミー・ヒックス・ジュニア氏は元共和党全国委員会共同議長で、トランプ大統領の婿の友人でもある。

 トランプ大統領は第1次政権時代の国家安全保障戦略(NSS)で、「大国競争」時代を宣言し、第2次政権では西半球防衛を優先すると明言した。そのため、アメリカ大陸全体を優先する「ドンロ主義」と名付けられた「西半球優先主義」や、列強の「勢力圏分割主義」が取り沙汰されている。今やトランプ政権下の米国は、国際秩序を主導する責任とコストを負う覇権国というより、さまざまな大国の中で最上位の地位を追求しているという意味だ。そのためには、中国やロシアのような大国とは結託し、自分の下にある同盟には鉄拳を振るう必要がある。

 米国が覇権国の地位と役割を放棄するのは、米国の国力の限界によるものであるが、トランプ大統領とその周りの人たちが自らの利益のために振るう略奪的覇権と泥棒政治に適しているからでもある。トランプ大統領の米国が韓国などの同盟国に役割や貢献の拡大を求めることを超えて、略奪的な覇権をさらに振るうことは明らかだ。トランプ大統領の残り3年が過ぎれば、米国と同盟に対する自傷行為によってその関係は一変してしまうだろう。韓国にどのような空間が開かれるか分からない。今や韓国はトランプ大統領の米国に従順であることはできないが、「耐えられないことを耐える忍耐」も必要だ。

2026/02/25 19:32
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/55554.html

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