「韓日戦」様相に発展した日本LINEヤフー事態が小康状態に入ったようだ。韓国大統領室は14日、「LINEヤフーが7月に日本総務省に提出する報告書にネイバー株売却関連の内容は含まれないだろう」と明らかにした。当分は日本の圧力による持ち株売却はないということだ。しかしネイバーとソフトバンクの間の関連交渉は依然として進行中であり、いつまた葛藤が深まるかは分からない。
22日に開かれた第33回韓日ビジョンフォーラムでは、LINE事態をテーマに各界の専門家らが討論をした。出席者は「政府の過度な介入は控えるものの、今後似た事例が再発する場合に備えて現状況を複合的に分析し、デジタル分野の具体的な協力案を用意する必要がある」と声を高めた。
◆イ・チャンミン韓国外大教授のテーマ発表の要約
LINE事態を通じて言葉だけの韓日安保協力の実体が表れた。昨年8月の韓米日キャンプデービッド首脳会談で安保協力を約束したが、日本から不意打ちを食らったような印象もある。一部は今回の事態を反日世論のきっかけとして利用している。
問題は両国が現在デジタル領域で友邦でないという点だ。日本はデジタル貿易自由度が高いほうであり、2019年から関連「ルールセッティング」(規範設定)に積極的に取り組んだが、ちょうどこの時点に韓日関係が最悪に向かった。韓国が日本のデジタル友好国から除外された理由だ。
今回の事態をめぐり特にさまざまな解釈が出てきた理由は、外からはブラックボックスのように見えない企業内の内部事情が複雑に絡んでいるからだ。ネイバーとソフトバンクの協力は最初から限界があった。LINEメッセンジャーサービスを除いたすべての部分で重複した事業領域が衝突している。
仮にネイバーに本当にLINEヤフー株売却の意思があるのに全国民が立ち上がって「ネイバーを守るべき」という声を出せば、ネイバーとしては株を売却したくてもできない状況となる。韓国政府が世論を背にしてネイバーに株を売却しないようにすれば、これもまた圧力に該当する。
日本で2022年5月に制定された経済安全保障推進法が本格的に稼働すれば、今後、類似の事例が再発する余地が大きい。日本はデジタル貿易のルールセッティングを終え、人工知能(AI)覇権国になるために官民が一体となって動いている。韓国政府は少数与党という現実的困難の中で経済安保関連の法制化に取り組まなければいけない。日本を含む友好国とデジタル協定も締結する必要がある。また、デジタル覇権競争で韓国企業が犠牲にならないよう関連支援を体系化することが求められる。今回の事態が単なる「LINE一等兵を救う」ことに終わってはいけない。
◆国家介入は企業の負担に
▼申ガク秀(シン・ガクス)元駐日大使=「データ主権」という言葉が出てくるほどプラットホーム企業が保有するデータの重要性が高まっている。日本政府が外国企業の資本関係整理を要求するのは干渉として映るしかない。韓日関係が完全に回復していない状況で、外交チャンネルと企業レベルで意思疎通が円滑でない兆候かもしれない。
▼イ・サングン西江大教授=国家が介入すれば企業の活動が制限される。特に韓日間のイシューは国民感情が先走る側面があるため、政府が不必要な介入をしないのが望ましい。LINEの日本国内のライバルViver(バイバー)が今回の事態で反射利益を得るかもしれない。
▼イ・ソクボン・デドクネット代表=今後、韓国の他の企業も日本国内の事業で似た状況に直面する可能性がある。過去には両国で「コリアンスクール」「ジャパンスクール」が活躍し、葛藤が深まる前に意思疎通があったが、こうした側面で不足するところがあるようだ。韓国がデジタル友邦を作っていくための具体的な戦略があるのかも点検しなければいけない。
▼チョン・ユシン西江大教授=人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)など核心産業において競争力を高めるのが安保だ。LINE事態のような問題が発生する場合、企業が先に解決するよう誘導するものの、株価暴落などに関連する問題は政府も共に懸念しなければいけない。韓国の全般的・国家的ビジョンと戦略が不足している状況だ。
◆韓国は日本に「不満」、日本は韓国に「不安」
▼徐錫崇(ソ・ソクスン)韓日経済協会副会長=その間、韓日間の懸案はほとんど過去の問題だったが、今回、新しい類型の事態が発生した。日本も予想しなかった展開に当惑し、個人情報の流出防止とセキュリティー管理に焦点を置いているとして収拾に動き出した。ただ、政府が過度に関与すれば「ありがた迷惑」になりかねず、警戒しなければいけない。
▼李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=韓日関係が劇的に改善したが、依然として韓国は日本に対する「不満」が、日本は韓国に対する「不安」が残っている。LINE事態は経営権問題を越えて、全世界的に敏感なデジタル主権問題だ。韓日がデジタル友邦に生まれ変わり、経済安保協力網の中で共に進まなければいけない。
▼梁起豪(ヤン・ギホ)聖公会大教授=LINE事態は韓日投資協定に背く日本政府の過剰介入だ。大統領室をはじめ、ネイバーなど当事者間のコミュニケーションがまともに行われたのかも疑問だ。LINE事態のほか、第三者弁済解決策に対する日本の呼応不足、福島汚染水の放出、佐渡鉱山の世界文化遺産登録の動きなど山積する懸案に国民が耐えられるか心配だ。
▼朴鴻圭(パク・ホンギュ)高麗大教授=2011年の東日本大震災で日本の通信がまひすると、主要意思疎通チャンネルとして急浮上したLINEは、ネイバーとソフトバンクが力を合わせた韓日協力の主要事例だ。現状態を維持すればよいが、やむをえず分離される場合、国民に向けた十分な説得が必要だ。韓日関係が岐路に立つ状況でLINE事態が国内政争の素材に転落し、懸念される。
2024/05/24 14:24
https://japanese.joins.com/JArticle/319076