流行に頼った無差別創業が増えるほかない背景には、低い創業障壁と制度の弱点がある。一例としてタンフールー店は、韓国行政安全部の統計で2023年150店が新たにオープンするほど人気を呼んだが、2年で事実上姿を消した。廃業したタンフールー店は2024年に620店、昨年は380店に達する。この10年間に大王カステラ、黒糖タピオカティなど特定の食べ物の流行ごとに繰り返されてきた現象だ。
さらに大きな問題は創業時に借りた資金が足かせになる状況が繰り返されている点だ。業界では政府がこうした悪循環を放置しているとの指摘が出る。自営業者政策の主管官庁である中小ベンチャー企業部の今年の小商工人予算は5兆4000億ウォンで、このうち約62%の3兆3620億ウォンが貸付(政策資金)支援に集中しているためだ。
ソウル・恩平区(ウンピョング)で食堂を運営するイ・スンヨンさんは2021年のコロナ禍当時に政府支援で1%台の超低金利貸付を受けたが、その後金利が3%台後半に上がった。イさんは「5000万ウォンを借りたが体感景気はさらに悪化しまだ半分も返せていない。毎月元利金として100万ウォンずつ出て行く。こうなるとわかっていたらきっちりと節約して貸付を受けなかっただろう」と吐露する。
政府は廃業時に貸付金(政策資金)償還を一時猶予しているが、廃業後に負債を返す方法は不確実で、廃業費用も大きな負担だ。中小企業中央会が廃業自営業者820人を対象に実態調査をした結果、廃業を決め時の負債額は平均1億236万ウォンで、廃業費用は平均2188万ウォンだった。
支援事業はぼう大だが管理と内容は不十分だという指摘もある。現在、政府、自治体、公共機関の小商工人支援事業は1000件を超え、創業支援から経営改善まで種類も多様だ。
中小ベンチャー企業部は自営業ポータルサイトで支援事業を案内しているが、全自営業者の10人中4人が60歳以上である点を考慮すれば事実上活用は容易でない。自治体・機関別の支援事業は申請窓口が分散しており公務員でさえ把握するのが難しい実情だ。中小ベンチャー企業部が提供する支援事業案内のパンフレットは数百ページに達し、自営業者の間では「机上行政」という不満が出ている。
京畿道軍浦市(キョンギド・クンポシ)でカフェを運営するチュ・ソンハさん(60)は「支援の種類を正確に知りにくく、申請手続きも複雑であきらめた」と話した。実際に経営危機に置かれた自営業者を助ける「再起事業化」の場合、昨年の申請件数1万1067件のうち60代以上の割合は11.5%にとどまった。これについて中小ベンチャー企業部関係者は「人工知能(AI)を活用して制度案内と申請過程を高度化したい」と話した。
専門家らは創業段階から支援策全般を根本的に再設計すべきと指摘する。京畿道小商工人連合会のイ・サンベク会長は「自身の業種関連教育を履修してこそ創業を可能にするなど進入障壁を高めなければならない」と話す。米国と日本は専門家が財務資料に基づいて自営業者の再起の可能性を診断した後に再起か廃業をオーダーメード型で支援する。これに対し韓国は自営業者が自ら判断して廃業や再起支援を申し込まなければならない構造だ。支援の実効性が低い理由だ。
西江(ソガン)大学経営学科のキム・ヨンジン教授は「貸付中心の支援はその場しのぎにすぎず、現在の支援事業は自営業者の困難を根本的に解決するのに力不足。欧州の協同組合モデルなど海外事例を参考にして商圏単位で支援・育成するような大転換を積極的に検討しなければならない」と助言した。
2026/02/03 10:56
https://japanese.joins.com/JArticle/344311