米国主導の「AIサイクル祭り」…韓国証券市場は「落雷乞食」状態

投稿者: | 2024年5月26日

 一時「落雷乞食」という新造語が韓国で流行した。本人の所得には大きな変化がない一方で、他の人々が保有する株式・不動産価格が急騰し、自身が相対的に貧困になった人を指す。最近、韓国証券市場が「落雷乞食」になったような気がする。グローバル主要国の証券市場が史上最高値を更新しており、3年間低迷していた中華圏の証券市場までが大幅に反騰しているが、韓国の証券市場は足踏み状態であり、相対的剥奪感が大きくなったためだ。

 特に、世界的な人工知能(AI)ブームの中で、韓国証券市場の「落雷乞食」現象はさらに深刻化している。人工知能サイクルの恩恵で競争関係にある台湾証券市場は上昇ラリーが続き、韓国と台湾間の株式市場時価総額の逆転現象が深刻化している。コロナパンデミックを前後して、たまに台湾と韓国の間の時価総額逆転現象が一時的に現れたことはあるが、最近のように両国間の時価総額格差が傾向的に広がったことはなかった。5月23日基準で台湾の時価総額は韓国時価総額の約1.27倍水準だ。2023年基準で台湾の名目国内総生産(GDP)の規模が韓国GDPの44%水準に過ぎない点を考慮すれば、韓国証券市場が本当に落雷乞食になったと言っても過言ではない。

 韓国と台湾の証券市場間の差別化は、今年に入ってさらに拡大している。5月23日までコスピ指数の年間上昇率は2.5%に止まった反面、台湾の加権指数は20.5%急騰した。両国の時価総額の格差が拡大する背景には、一次的に両国の大将株(株式市場の上昇を主導する株式)の株価差別化がある。台湾証券市場の大将株であるTSMCの株価は今年に入って約50%近く急騰した反面、サムスン電子の株価は弱含みだ。期待とは異なり、サムスン電子をはじめとする韓国半導体企業が台湾に比べて人工知能サイクルブームや米国主導の半導体供給網の再編で大きな恩恵を受けられずにいることを示唆する。

 ただ、昨年末から韓国の半導体輸出が大幅に増加し、韓国の景気回復を主導している。今年のGDP成長率見通しを2.1%から2.5%に上方修正した韓国銀行も、その背景として「半導体サイクルの回復」をあげた。韓国の主力産業である半導体業況の回復は、韓国経済にとって鼓舞的な現象だ。しかし業況回復だけに満足してややもすれば技術革新投資などに遅れを取るならば、韓国半導体産業が「茹でガエル」になる危機に直面する恐れがある。全世界は半導体覇権をめぐる無限の半導体戦争、すなわち「チップウォー(ChipWar)」に突入した。米国と中国はもちろん、欧州連合(EU)までも半導体戦争に乗り出し、米国と欧州連合の場合、約110兆ウォン(約12.6兆円)に達する補助金を支援する計画だ。中国、日本、インド、サウジアラビアなども「チップウォー」戦線に積極的に参加している。韓国も半導体産業の競争力強化のために28兆ウォン(約3.2兆円)を支援する計画を明らかにし「チップウォー」参加を宣言した。遅ればせながら幸いなニュースだ。しかし、韓国の半導体、さらには韓国証券市場が落雷乞食の状態から抜け出すかどうかは不確実だ。半導体戦争で勝者になるためには、さらに果敢で積極的な産業政策が持続されなければならない。

2024/05/26 18:11
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/50122.html

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