10日の第22代国会議員総選挙で与党が惨敗し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の最大の外交成果に挙げられる韓日関係まで揺らぎかねないという懸念が出ている。総選挙1週間後の17日、尹大統領と日本の岸田文雄首相は電話で会談して変わらぬ協力を約束したが、首脳間の信頼にだけ依存するには両国の国内政治的状況が容易でないという指摘が出ている。
22日に開かれた第32回韓日ビジョンフォーラムでは、「総選挙後の韓日関係の見通し」を主題に各界の専門家らが討論を行った。参加者は「持続可能な韓日関係に向けては政府が対国民疎通にもっと積極的に出なければならない。巨大野党は政治的目的で反日感情を活用してはならない」と指摘した。
▽曺良鉉(チョ・ヤンヒョン)国立外交院教授提案要約
与党の総選挙敗北は韓日関係に否定的要素だ。対内的には進歩勢力を中心に反日世論が高まる可能性がある。また、政権基盤が弱まれば対外的に対日・対米外交推進力が落ちるかもしれない。韓日関係の最大の難題である強制徴用と慰安婦問題を根本的に解決するには被害者救済に向けた特別法制定が必要だが巨大野党の協力は見通しが暗くなる。
日本でも韓国の次期政権が対日政策の連続性を維持できるかに対する不信が生じる恐れがある。これとともに韓国が昨年3月発表した「第三者弁済」解決策の持続性に対する不安感もまた大きくなるかもしれない。
こうした状況にもかかわらず、尹錫悦政権の対日基調は総選挙後も維持される見通しだ。国民的評価が比較的高かった尹錫悦政権の対外戦略の核心軸がまさに対日政策だ。第三者弁済を通じた韓日関係改善は小数与党多数野党の局面と低い支持率の中でも推進された。
対日外交の一貫性が尹錫悦政権のレガシーになり得る。このためには韓日対立要因を先制的に管理し国民が体感する協力事業を推進しなければならない。新しい試みよりは安定的関係管理に重点を置かなければならない。過去の問題では党利党略的アプローチ、消耗的な感情対決は控えた上で、日本の歴史的事実歪曲に対しては厳正な原則を堅持しなければならない。
何より重要なことは国民の理解を得ることだ。1965年に当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が発表した「韓日会談妥結に際した特別談話文」を参考にしてみる必要がある。当時朴大統領は日本に向け「きのうの敵であってもわれわれのきょうとあすのために必要ならば彼らとも手を握らなければならない」と強調した。
来年の韓日国交正常化60周年に備えた未来ビジョンも必要だ。関連特別作業班を早期に設置し、来年6月を目標に新たな国際情勢と変化した両国関係を反映した共同宣言を発表する案もある。1963年にドイツとフランスが敵対関係を清算し、協力と和解に向け結んだ「エリゼ条約」を参考にする必要もある。
◇来年の国交正常化60周年準備しなくては
▽陳昌洙(チン・チャンス)世宗(セジョン)研究所日本研究センター長=出入国の便宜をさらに改善するなど韓日国民が関係改善の利益を肌で感じられるようにしなければならない。
▽申珏秀(シン・ガクス)元駐日大使=対外政策で総選挙の影響を最も多く受ける分野が韓日関係だ。岸田首相は最近の米議会での演説で過去の問題に対し口を閉ざした。未解決状態の過去史懸案が両国関係にどんな影響を及ぼすのか再点検しなければならない。
▽李元徳(イ・ウォンドク)国民大学教授=対日外交が総選挙の争点ではなかったため今後の韓日関係の流れが変わる懸念はない。来年の両国国交正常化60周年を契機に関係改善を制度化する準備に万全を期さなければならない。
▽徐錫崇(ソ・ソクスン)韓日経済協会常勤副会長=人工知能(AI)、半導体、バッテリーなどの分野では第三国への共同進出など韓日協力の潜在力が相当にある。来月の第56回韓日経済人会議が両国経済協力の変曲点になるかもしれない。
◇対日関係改善の必要性さらに広報しなくては
▽尹永寛(ユン・ヨングァン)元外交部長官=尹錫悦政権はこの10年間で最悪に突き進んだ韓日関係を一時改善する措置を取りながらも、これに対する十分な国民への説明や広報がなかった。国民との疎通がもっと必要だ。
2024/04/24 17:36
https://japanese.joins.com/JArticle/317858