4年5カ月ぶりに開かれた韓中日首脳会議は経済的協力と意思疎通を強調し、これまで疎遠だった3カ国の協力を再び進めるという意志を確認した。しかし、北朝鮮の核・ミサイルと台湾、米中覇権競争など地政学的対立に制約される明らかな限界も露呈した。
27日の韓中日首脳会議の共同宣言で最も関心が集まっていたのは、北朝鮮核問題をめぐる合意のレベルだ。3カ国首脳は「朝鮮半島と北東アジアの平和と安定、繁栄が我々の共同利益であり共同責任であることを再確認した」としたうえで、「我々は域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致問題に対する立場をそれぞれ再強調した」と述べた。「朝鮮半島の非核化」という表現に中国が同意しなかったため、各国の立場を併記したのだ。2019年に開かれた直前の第8回3カ国首脳会議の合意文に「朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力する」という内容が含まれたことに比べると、大きな後退だ。「朝鮮半島の非核化」が合意文に明記されなかったのは、これまで2012年の1回だけだった。
外交部当局者は記者団に「地政学的状況などを考えると、中国が北朝鮮の非核化問題について過去のような合意をするのは難しい状況」だとしたうえで、「朝鮮半島の非核化という文言を入れたことに意味がある」と強調した。米国との緊張が高まるにつれ、中国が2023年以降には「朝鮮半島の非核化」という表現を使わない中、激しい議論の末に作り出した成果だということだ。同当局者は韓中が「朝鮮半島の非核化という同じ目標を持っているが、(そこに至る)経路と方策について意見の相違がある」と述べた。
この日の会談後に開かれた共同記者会見でも、北朝鮮の核問題をめぐる韓日と中国の立場の違いが目立った。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「国連安保理決議を忠実に履行しながら北朝鮮の非核化に向けて努力することが重要だ」とし、日本の岸田文雄首相は「北朝鮮の非核化と朝鮮半島の安定」を強調した。一方、中国の李強首相は「中国は一貫して朝鮮半島の平和と安定、朝鮮半島問題の政治的な解決を進めている」としたうえで、「関係諸国は自制を保ち、事態がさらに悪化し複雑になることを防ぐべきだと考える」と述べた。「非核化」には言及せず、北朝鮮だけでなく韓国、日本、米国などの自制も求めたのだ。
特に、会談直前に北朝鮮が偵察衛星の打ち上げを通知したことについても、尹大統領と岸田首相が「断固たる対応」などに触れた一方、李首相はこの問題について全く言及しなかった。
韓国は今回の首脳会議を通じて韓中日と韓中関係を改善し「韓米日対朝中ロ」の対立構図を緩和し、「朝中ロの密着」から中国をできるだけ引き離すことを戦略的目標にしてきた。結果的に、韓中日首脳会議を定例化し、3カ国間自由貿易協定(FTA)交渉を加速化するとともに、サプライチェーンをめぐる協力と人的交流の強化などに合意する成果を引き出した。しかし、北朝鮮の核問題をめぐる中国と韓国の隔たりを再確認し、「韓米日対朝中ロ」の構図を完全に緩和させるには道のりが遠いとみられる。
中国が今回の会談で一貫して米国を念頭に置いた行動を見せたのも、韓中関係の制約要因だ。李首相は同日、首脳会議の冒頭発言で、「我々は率直な対話で疑念と誤解を解き、戦略的な自主の精神で両者関係を守り世界の多極化を進めるとともに、集団化と陣営化に反対しなければならない」と述べた。また「互いを発展のパートナーと発展の機会と見なし、経済グローバル化と自由貿易を守護することで、経済・貿易問題、汎政治化、汎安保化に反対して保護貿易主義とデカップリングに反対しなければならない」と強調した。中国に対する米国の包囲網と先端技術に対するけん制を批判し、米国主導の国際秩序に亀裂を入れることを目指している中国の戦略を反映した発言だ。
また、3カ国首脳は同日、3カ国首脳会議を定例化すると宣言しながらも、具体的な時期などは今後の協議の課題として残した。
国策研究機関のある外交専門家は「朝鮮半島の非核化という言葉自体が全く含まれないことよりは一歩進んだが、残念だ。(韓国政府は)『3カ国が朝鮮半島の非核化を共同で求め、努力することにした』といった内容を望んでいたと思うが、結果的に中国の同意を引き出せなかった」と語った。さらに「今回の合意を出発点にして韓国が非核化へと中国を引き寄せる努力を強化していけば、出発点としての意味があるだろう」と話した。
2024/05/27 21:41
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