4年5カ月ぶりに行われた韓日中首脳会談の共同宣言文をめぐり日本と中国が神経戦を行ったと読売新聞が29日に伝えた。共同宣言文をめぐり交渉する中で中国側が「サプライチェーン(供給網)」に加えて「産業チェーン(産業網)」協力強化を盛り込もうと主張したが、日本の拒否で盛り込まれなかったという。同紙は「中国側は、北朝鮮問題に関する内容では譲歩を拒んだが、経済安全保障の分野で日本側の主張に同意した」と伝えた。
◇「産業網」の用語に反対した日本
日本が中国の提案に反対したのは、産業網という単語が持つニュアンスのためとみられる。習近平中国国家主席は電気自動車と人工知能(AI)分野に対し産業網という言葉を使ってきたが、この単語には製造業の根幹となる原料と素材から完成品製造まで全てを中国企業だけで完結するという意味があるという。電気自動車のような重要産業分野で自国企業の世界市場支配につなげようとしていると日本側が解釈したと同紙は伝えた。
習主席は実際に米国との貿易競争が深化した2022年に、「中国は各国とともに新しい科学技術革命と産業変革の新しい機会を捕らえて共同で安全で安定的で円滑で効率的で開放的で包容的な互恵・共栄の世界的産業網・供給網システムをともに構築することを望む」と発言している。
こうした理由から3カ国首脳の共同宣言文に「産業網」を盛り込もうという中国側の主張に日本は「中国企業の海外展開を許容して過剰生産につながる」として拒否したと同紙は伝えた。
3カ国の自由貿易協定(FTA)関連の部分でも日本と中国は意見が分かれたと同紙は報じた。中国は「交渉加速化」にこだわったが、最終的には日本が主張した「議論を続ける」という表現となった。
このほかにもレアアースなど中国が輸出規制しかねない分野に対し日本は「混乱の回避」という表現を使うよう要求したという。実際に27日に発表された共同宣言文には「市場の開放を維持し、サプライチェーンの協力を強化し、サプライチェーンの混乱を回避することへのコミットメントを再確認する」とされた。
◇次期外相に名が挙がる劉建超氏が訪日
共同宣言文をめぐり両国がかけひきを行ったが、日本と中国の対話は韓日中首脳会談後も続いている。時事通信によると、日本の岸田文雄首相はこの日午前、次期中国外相の有力候補とされる中国共産党の劉建超中央対外連絡部長と首相官邸で面会した。岸田首相は面談で「課題や懸案について対話を重ね、互恵的協力を加速していきたい」と話した。これに対し劉部長は「対話の拡大に貢献していきたい」と述べた。
劉部長はこの日、上川陽子外相と会った後、自民党の茂木敏充幹事長と公明党の山口那津男代表と面談する。
2024/05/29 16:34
https://japanese.joins.com/JArticle/319279