今日のニュースペース(New Space)のパラダイムは、数千機から数万機の超小型衛星を連結する「低軌道衛星コンステレーション」の構築だ。この市場において固体ロケットは構造的な限界を抱えている。
日本のイプシロンの打ち上げ費用は1回当たり3000万ドル(約47億8380万円)を超え、1キログラム当たりのコストは極めて高い。再使用ロケットによる圧倒的なコスト削減を実現したスペースX(SpaceX)の前では、固体ロケットで低軌道衛星網を構築しようという発想は経済的とは言えない。
さらに深刻なのは環境問題だ。
中国やインドは、国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)のスペースデブリ(宇宙ごみ)削減ガイドラインを無視し、低軌道や太陽同期軌道に全段固体ロケットや大型固体上段を大量投入してきた。
その結果、一部の高度では燃焼効率向上のため固体燃料に混ぜられた大量のアルミニウム粉末が酸化アルミニウム粒子や溶融アルミニウムスラグへ変化し、秒速7~8キロで軌道上を漂いながら、地上レーダーでは追跡すらできない「宇宙砂嵐帯」を形成している。
この汚染された軌道を通過する商業衛星は、絶え間ないサンドブラスト攻撃にさらされる。太陽電池パネルは損傷し、光学レンズは摩耗し、熱制御コーティングは剥離するといった「衛星の墓場」ともいうべき軌道が誕生する。
◇大韓民国が選択すべき「ツートラック」戦略
本格的な宇宙開発の軌道に乗り始めた大韓民国は、先行する宇宙大国が犯した環境上の過ちを繰り返してはならない。
したがってわれわれの宇宙戦略は、安全保障分野と産業・環境分野を明確に分離する「ツートラック(Two-Track)戦略」へ進むべきである。
第一に、安全保障資産の高度化だ。今回の済州沖での打ち上げによって完成される固体ロケット技術は、国家安全保障を守り、有事の際には迅速に宇宙資産を補充するための特殊目的型国防資産として徹底的に高度化すべきだ。
第二に、環境配慮型商業ロケットの育成だ。低軌道コンステレーション構築と真の宇宙経済大国への飛躍のためには、打ち上げ頻度を高めながらもスペースデブリを発生させない大型液体推進ロケットや再使用ロケットシステムの開発に国家的能力を総結集しなければならない。
済州の海を赤く染めながら上昇する固体ロケットの炎は、われわれに確かな安全保障への信頼を与える一方で、持続可能な宇宙(Space Sustainability)に対する重い責任にも思いを至らせる。
安全保障の盾は揺るぎなく強固に築き上げる一方、未来の宇宙領域を切り開く商業的な武器は、地球環境と宇宙生態系の双方に利益をもたらす、冷静で成熟した経済的論理によって準備しなければならない。
単なる打ち上げ成功への歓喜を超え、その背後に隠された軌道の方程式を完全に解き明かすこと――それこそが、これからの韓国宇宙政策が示すべき真の品格である。
金承祚(キム・スンジョ)/ソウル大学名誉教授
2026/06/01 13:33
https://japanese.joins.com/JArticle/349886