米中衝突も妥協も恐ろしい…「二重の不安」苦しめられる台湾(2)

投稿者: | 2026年6月21日

ここで台湾の最も深い悩みがあらわれる。米中が衝突しても危険だが米中が妥協しても台湾は取引対象になるかもしれない。「戦争の戦場」にならないのと「妥協の取引物」にならないことの間で同時に緊張しなければならない二重の不安だ。昨年ランド研究所の米中安定化報告書が「北京に漸進的統一の誘引を提供しなければならない」という論旨で激しい議論を呼んだのもこの点からだ。2つの強大国が笑って話す間に台湾の運命が台湾のいない場で決定されかねないという恐怖、日本の高市首相が昨年11月に中国の台湾侵攻を「存立危機事態」と規定すると、北京が航空便、水産物、尖閣一帯で多領域強圧を浴びせた風景もこの巨大なチェス盤の一部だ。

台湾社会はこの変化を本能的に感知している。米国が「約束を守る国」と考える割合は2021年の45%から今年は34.3%に落ち込み、「戦争が起きても米国は軍を送らないだろう」という回答は57%に達した。しかし加重される外部圧力は社会を萎縮させると同時に逆説的に自分のアイデンティティをよりはっきりと自覚させる。同じ時期「米国が介入しなくても抵抗する」という回答は58.7%、米国製武器購入支持は70%に達した。義務兵役は4カ月から1年に戻され、頼清徳総統は新年辞の題名を「回復弾力性の島」に決めた。国防予算を2030年までにGDPの5%に引き上げる目標とともに、2026~2033年の8年にかけて400億ドル規模の特別国防予算ロードマップを出した。4月からは全国11都市と県でリアルタイムの「都市回復弾力性訓練」が8月まで行われ、すでに2月まで900万世帯以上に市民防衛ハンドブックが配布された。

 米国への信頼を減らしながらも中国を選択せず自衛意志がともに上がるこの逆説は、台湾社会が「私は台湾人だ」という自分の叙事を深く内面化したことを見せる。台湾はこれ以上米中覇権競争の受動的オブジェクトではなく、米国の信頼性、中国の強圧、自国政治の二極化、社会的回復弾力性の間で生存叙事を再構成する主体に移動している。

もちろんその行為能力が無制限で堅固なものではない。中ではAI好況が作った「K字形経済」が「われわれは一つの運命共同体」という感覚をかじりとる。昨年8.63%という15年ぶりの最高成長率を記録した中で成長のほとんどすべてがAIと半導体供給網から始まった。1人当たりGDPは韓国と日本を追い越したが労働者の70%が平均賃金以下にとどまる。半導体好況が作った「シリコンの盾」は世界が台湾を放棄できなくさせる物理的盾だが、まさにそのために台湾を最も争奪しやすい戦略資産にする両刃の剣でもある。外では国家安全局(NSB)が昨年摘発した偽アカウントが4万5000件余りで前年比約60%急増した中で、11月の地方選挙を狙った認知戦が社会内部分裂を狙う。

◇守護・争奪の対象…「シリコンの盾」の二重性

内部の政策論争も侮れない。国防費増額、対米武器購入と米国に対する投資拡大、中国との最小限の対話維持、現状維持路線、独立世論の節制の間でどのような組み合わせが自律空間を最も広げられるかをめぐり与野党は毎日衝突している。それでもこのすべての論争を貫く「私は中国人でなく台湾人」という自分の叙事の堅固さは揺らがずにおり、むしろ外部圧力が強くなるほどさらに鮮明になっている。

そのため2026年の台湾が本当に守ろうとするのは領土と半導体工場だけでない。戦争の時計は遅れるが強圧の時計は止まっていない。その現実の前で台湾は米国と中国が敷いたチェス盤の話ではなく自分のアイデンティティと行為能力を手から放さないようにもがいている。米国に向けられた信頼は揺らぎ、中では亀裂が広がるが、「私は台湾人だ」という自分の叙事だけは外部の圧力が激しいほどかえって鮮明になった。

結局台湾の運命を分けるのは武器の量や貿易収支の大きさではなく、「私たちはだれなのか」という問いの前でどれだけ堅固でいられるかだろう。強大国の対立と妥協が同時に押し寄せる中で、どれだけ長く、そしてどれだけ自分自身として残れるか。銃声のない代理戦の最前線に立った台湾がいま全身で耐え抜いている質問だ。

チャン・ヨンヒ/高麗(コリョ)大学アジア問題研究院台湾研究センター長

2026/06/21 13:24
https://japanese.joins.com/JArticle/350843

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)