[社説]迫るプーチン訪朝、賢明な外交で朝ロ接近けん制を

投稿者: | 2024年6月13日

 ロシアのプーチン大統領は、早ければ来週にも、24年ぶりに北朝鮮を訪問する。国連安全保障理事会の常任理事国であり核・エネルギー大国でもあるロシアと北朝鮮の「戦略的接近」は、韓国の国益を深刻に損ねうる災厄的な動きだ。政府は、両国が全面的な軍事協力関係を構築できないよう、バランスの取れた外交で最大限けん制すべきだ。

 大統領室の高官は12日(現地時間)、記者団に対し、プーチン大統領の訪朝が「数日以内に」迫っていると述べた。日本のNHKもこの日、「プーチン大統領が来週前半にも北朝鮮を訪問する方向で調整が進められている」と伝えている。平壌の金日成(キム・イルソン)広場に軍事パレードで使われるとみられる大型の構造物が観察されているとも報道されている。今月10日にロシアメディアが報道したように、プーチン大統領の北朝鮮・ベトナム歴訪がまもなく始まる兆しだと思われる。

 韓ロは1990年9月の国交樹立以来、30年以上にわたって友好関係を続けてきた。関係の悪化は2022年2月末のウクライナ戦争からだ。その後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が昨年春から夏にかけて、米国を経由してウクライナに155ミリ砲弾を「迂回支援」したことで、極めて危険な局面に入った。その後、朝ロの接近が本格化した。昨年9月には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がロシア極東地方を訪問し、プーチン大統領と会談した。北朝鮮は、ロシアに兵器を供給する対価として「新型衛星運搬ロケット」技術の供与を受けたとみられる。ロシアは2022年から国連安保理の対北朝鮮決議案に拒否権を行使しており、今年3月には北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの延長も拒否している。北朝鮮とロシアの接近によって韓国を取り巻く安保環境が大きく悪化したうえ、北朝鮮の核をめぐる国連安保理の協力体制が崩壊したのだ。

 保守の一部は、韓国はウクライナに本格的に兵器を供給すべきだと主張しているが、分別のない構想だ。ややもすれば、韓ロ関係を取り返しのつかない状況にまで追い込む恐れがある。米国は開戦から今月7日までに519億ドル(約71兆3000億ウォン)分の兵器を注ぎ込んでおり、欧州の主要国も同調しているが、戦況を変えるには至っていない。

 朝ロの接近は、韓ロ関係の悪化と無関係ではない。欧州で孤立したロシアは、韓国との関係改善を望んでいる。プーチン大統領は5日、「(韓ロ関係の改善の行方は)ロシアではなく韓国の判断にかかっている」と述べた。同盟国である米国などに配慮しつつも、ロシアとの関係を管理しうる賢明な対応を取るべきだ。とりわけ、兵器の供給は絶対にあってはならない。

2024/06/13 18:05
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/50308.html

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