ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のクリル列島(千島列島)訪問で触発されたロシアと日本の領土をめぐる対立が、大使召喚をめぐる外交的な神経戦に広がった。ロシアの出頭要求に応じなかった駐ロシア日本大使は、1日後に召喚に応じることにした。
18日、共同通信や日本経済新聞などによると、武藤顕・駐ロシア日本大使はこの日、ロシア外務省を訪問する予定だ。セルゲイ・ラブロフ露外相は前日の記者会見で「日本大使を呼んだが、不明な理由で出頭しなかった」とし、「召喚に応じなかったのは驚くべきことだ」と公然と批判した。
対立の発端は、プーチン大統領による13日のイトゥルップ島(択捉島)訪問だ。プーチン大統領は現地の学校や病院、水産物加工施設などを視察し、この島がロシア領であることを誇示した。プーチン大統領が日本と領有権を争っているクリル列島を直接訪れたのは今回が初めてだ。
日本政府は直ちに反応した。高市早苗首相は13日、「北方領土は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土」とし、「強く抗議する。断じて許容できない」と明らかにした。茂木敏充外相も同日、ニコライ・ノズドレフ駐日ロシア大使を外務省に呼んで抗議した。
これに対し、ラブロフ外相も「プーチン大統領がロシア領内の地域を訪問できないという日本側の発言は到底容認できず、礼儀の一線を越えた」とし、武藤大使の召喚を進めた。
両国がこのように衝突した背景は第2次世界大戦にさかのぼる。イトゥルップ島はクナシル(国後島)、アストラバ・ハボマイ(歯舞群島)、シュカタン(色丹島)とともに、日本が「北方領土」と呼ぶ千島列島南端4島の一つだ。ソ連軍は第2次大戦で日本が敗戦すると4島を占領し、その後ロシアが現在まで支配している。
日本は1951年のサンフランシスコ講和条約でクリル列島に対する権利を放棄したが、北方4島はこれに含まれないと主張している。安倍晋三元首相は在任中、プーチン大統領と20回余り首脳会談を開き、北方領土の返還と平和条約締結に力を注いだ。特に2018年には、シュカタンとアストラバ・ハボマイの引き渡しを規定した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意したが、ロシアの立場変化により進展はみられなかった。
プーチン大統領による電撃的なイトゥルップ島訪問には、9月18~20日の国家ドゥーマ(連邦下院)選挙を控え、領土防衛と愛国心を強調しようとする政治的な狙いがあるとの分析が出ている。ロシア国営世論調査機関VCIOMによると、プーチン大統領の国政遂行に対する肯定的評価は1月の75.2%から7月末~8月初めには65.9%へと約9%ポイント下落した。依然として高い水準だが、ウクライナ戦争以降維持してきた圧倒的な支持には亀裂が生じた格好だ。
ウクライナ支援と対ロシア制裁を維持する日本に警告を送ったとの解釈もある。日本はウクライナ戦争以降、西側の対ロシア制裁に加わり、最近ではウクライナとドローン分野の協力に関する議論を拡大している。プーチン大統領が北方領土を直接訪問することで、日本の領土交渉への期待を遮断すると同時に、ウクライナ支援には外交的なコストが伴うというメッセージを送ったとの分析だ。
こうした中、ウクライナもプーチン大統領が訪問した13日、ロ日の攻防に加わった。ウクライナのアンドリー・シビハ外相はこの日、X(旧ツイッター)を通じ、イトゥルップ島を「ロシアが占領した日本の北方領土の一部」とし、「不法占領を正常化しようとする意図的な挑発」と批判した。
ただ、今回の事態が両国関係のさらなる悪化につながる可能性は低いとの見方が優勢だ。昨年11月以降、中国との対立が激化した日本にとって、ロシアとの新たな対立軸を形成するのは負担が大きいためだ。
2026/08/19 09:25
https://japanese.joins.com/JArticle/353741