検察がかつてスパイと見なしたことで獄中生活を送ることになった拉致・帰還漁師103人の名誉回復に入った。
この漁師らは1971年8-10月に東海(トンヘ、日本名・日本海)で操業をしているところ北朝鮮の警備艇に連行され、翌年9月に帰還した後、すぐに不法拘禁され、反共法違反、国家保安法違反などの容疑で刑事処罰を受けた。
最高検察庁は9日、漁師らの権利救済のために春川(チュンチョン)地検・江陵(カンヌン)支庁・順天(スンチョン)支庁の3つの管轄検察庁に「職権再審」を請求するよう指示したと明らかにした。起訴猶予処分を受けた船員6人に対しては今回初めて明確に不起訴に処分を変更するよう指示した。今回の名誉回復措置は当時帰還した漁師160人のうちすでに再審が請求された57人を除いた全員(103人)が対象だ。
今回の第2次職権再審請求対象者は7隻の船舶に乗っていた漁師97人。ほとんどが集団収容状態で合同尋問を受けた後、所轄警察署に引き渡され、半分以上が拘束状態で捜査を受けた。拘束令状が出る前に法的根拠もなく不法拘禁された事実も確認された。その後、反共法・国家保安法違反など容疑で起訴され、船長と機関長は懲役1-2年の実刑を、船員は懲役刑執行猶予を言い渡されるなど有罪判決を受けた。
職権再審とは、判決に再審事由が発見された場合、検察が被告に代わって裁判所に再審を請求する制度。検察関係者は「拉致・帰還漁師らは刑事処罰のほかスパイ、共産主義者という烙印を押されて就職できないなど正常な社会生活を送れず、精神的にも深刻な被害を受けた」と明らかにした。
最高検察庁は昨年5月にも、東海で操業中に拉致されて1969年に江原道高城(カンウォンド・コソン)に帰還したキソン号など船舶23隻の拉致・帰還漁師100人に対して管轄検察庁に職権再審請求を指示した。遺族の同意を受けて再審が開かれた78人のうち現在まで59人に無罪を言い渡された。19人は裁判中だ。
イ・ウォンソク検察総長は2022年の総長就任以降、済州(チェジュ)4・3事件、5・18民主化運動、拉致・帰還漁師事件など過去の事件で司法被害を受けた人たちの名誉回復に力を注いでいる。
2024/07/10 11:37
https://japanese.joins.com/JArticle/320974