最近、日本の教育界で「高大連携」がキーワードとなっている。有名大学への内部推薦枠を高校に設ける付属校に近い形式から、大学教授が連携先の高校に出向いて「出張授業」をするなど多様なパターンがある。高校にとっては生徒たちに多くの教育、進学の機会を与えられる一方、大学にとっては「未来の新入生」に大学の授業を体験してもらうことができる。少子化で生徒数が減少し、高校も大学も魅力をアピールするためさまざまな試みをしているというわけだ。
「高大連携」で今年最も注目されているのが宝仙学園だ。宝仙学園は今年3月、順天堂大と系属校協定を結んだ。現在の高校3年生から内部進学が可能となる。来年には医学部進学コースも新設する予定だ。
順天堂大は1938年に開学した日本最古の医学教育機関だ。2024年の医学部入試の倍率は約15倍に達したほどだった。日本の最難関私大医学部4校を意味する「四天王」の一角を占める。
宝仙学園の中高一貫コースである「理数インター」は、多様な生徒に入学してほしいと、一般的な筆記試験型のほか、自分の意見をプレゼンテーションする「オピニオン入試」など計13種類の入試形態があり、日本一種類の多い中学入試として知られている。進学実績も上昇傾向にあり、教育関係者の間では、順天堂大が宝仙学園をパートナーに
選んだ理由にこうした背景があるのではないかと見られている。
順天堂大は、今年薬学部を開設するなど医療系総合大学として拡大を続けており、大学と親和性のある多くの人材を早期に獲得しようとしているようだ。宝仙学園を含めた計36校の高校と高大連携協定を結んでおり、このうち、宝仙学園は唯一系属校協定を結んだ学校だ。宝仙学園を訪れ、系属協協定に至った背景などを尋ねた。
7月13日、宝仙学園で行われた学校説明会には、計270組の予約があり、家族単位で参加する様子も多く見られた。4月から毎月実施している学校説明会への参加者数は昨年の倍以上に急増しているという。参加者アンケートを見ると、やはり順天堂大との系属関係や医学部進学コースへの関心の高さがうかがえた。この日の説明会で、富士晴英校長は順天堂大との協定締結に関連して、「本校で学んで人間的に成長して、行く末は立派な医者になってほしい」と語った。
富士校長は記者のインタビューに対し、協定締結は順天堂大側からの要請だったと明らかにしたうえで、医学部との連携の必要性もあって快諾したと語った。「生徒たちにチャンスを与えることができると同時に、学校全体をさらにレベルアップできる良い機会」と判断したということだ。
ただ、注目を浴びることで、「心無いことを言われることも増えた」という。宝仙学園の内部進学枠は、大学入学共通テストを受験して一定のハードルをクリアする必要があるうえ、枠は当面、数名の予定のためだ。このため、失望感をあらわにする受験生の親もいるという。
しかし、富士校長は「単に学力の高い生徒たちを集めて医学部への進学実績を誇ろうとしているわけではない。どうしても医者になりたいという志を持って勉強したい、という人に集まってもらいたい」と強調した。名門医大の「ブランド」の傘を借りるのではなく、生徒たちの夢を育みながら、生徒とともに新たなチャレンジをしていくという趣旨だ。
宝仙学園の卒業生には、高校入学時点で日本語がまったくできなかったものの、わずか3年間の勉強で順天堂大医学部に合格した韓国人学生がいるそうだ。富士校長は「こうした子たちは必ず日韓の架け橋になる。平和を作るうえで教育はチャンス」と語った。
2024/07/22 08:07
https://japanese.joins.com/JArticle/321409