9・9節祝賀行事不参加の金正恩氏…水害のためか、決断のためか

投稿者: | 2024年9月9日

北朝鮮が政権樹立記念日の「9・9節」76周年を迎え、8日夜に祝賀行事を行ったが、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は出席しなかった。金委員長の「革命思想」と主張する「わが国家第一主義」と密接な関連がある政権樹立日の行事に参加しないことをめぐり異例との評価が出ている。水害復旧で余力がなかったり、米大統領選挙などを控えある種の決断を下すためではないかとの見方が提起される。

労働新聞は9日、前日夜に平壌(ピョンヤン)で共和国創建76周年慶祝集会と夜会が盛大に行われたと報道した。金日成(キム・イルソン)広場で開かれた行事には、平壌市民らと青年学生が参加し、政治局常務委員である金徳訓(キム・ドクフン)首相と崔竜海(チェ・ヨンヘ)最高人民会議常任委員長をはじめとする党・政府幹部らが主席壇に並んだ。

 金首相はこの日の演説で「党と共和国政府は自衛的国防力強化の上昇一路を継続していくことによりどんな侵略勢力にも圧勝する無敵の力で戦争を防止し国と人民の安全と子孫万代の繁栄を信頼できるよう守護するだろう。折り重なる困難にも屈することなく変革の新時代を開いていく全人民と共和国武力の将兵、社会主義祖国のために力強く闘っている総連をはじめとする海外同胞組織と同胞に温かい祝賀のあいさつを送る」と話した。

彼が「侵略」「戦争」などに言及しながら自衛的国防力強化を強調したのは、米韓への敵対心を鼓吹させ体制に対する不満を外部に向けることで内部結束を図ろうとする意図とみられる。制裁による慢性的経済難と最近の深刻な水害などによる民心離反を意識したメッセージとみられる。

同紙は在日親北朝鮮団体である在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の祝賀団をはじめとする海外同胞、北朝鮮駐在外交官を招いたと明らかにしたが、具体的な出席国や出席者は明らかにしなかった。

専門家の間では「わが国家第一主義」を掲げて国の象徴を通じた内部結束を強調してきた金委員長が9・9節行事に参加しなかった背景に注目する。

まず7月末に北部国境地域で発生した水害の影響が考えられる。金委員長は台風の影響で咸鏡北道(ハムギョンブクド)と咸鏡南道(ハムギョンナムド)地域に大きな洪水被害が発生した2020年にも水害現場を視察し9・9節関連行事に参加しなかった。

金委員長が執権後9・9節行事に参加しなかったのは今回が6回目だ。ただ、朝米対話決裂、コロナ禍などを経て核・ミサイル開発を進め自ら孤立を選んだ2020年以降では初めてだ。高強度の挑発などを念頭に置いた長考に入ったのではないかという分析も出ている。

慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「国家を強調してきた金委員長の不参加は異例。それだけ深刻に悩んで解決すべき課題があるということを傍証する」と話した。統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員も「党・政府幹部を中心に主席壇が構成されたのもポイント。延期されている軍事偵察衛星の追加打ち上げや今回の水害で深刻な被害を受けたとされる軍需施設関連の対策に奔走している可能性もある」と話した。

北朝鮮は今年軍事偵察衛星3基を追加で打ち上げると公言したが、9月になってもまだ一度も打ち上げに成功できていない。湿っぽい天候が去り核実験を敢行するのに良い気象条件となっているのもこうした分析を裏付けている。

一方、労働新聞は各国首脳の政権樹立日関連の祝電を伝え、昨年とは違いロシアのプーチン大統領の祝電を中国の習近平国家主席の祝電よりも先に配置した。この日労働新聞3面にはプーチン大統領、習近平主席、ベトナムのトー・ラム共産党書記長の順で祝電が掲載された。これは最近朝ロが密着する間に疎遠になった朝中関係を端的に見せるものだ。

習主席は祝電で「今年は、中朝外交関係樹立75周年に当たる年であり、『中朝友好の年』である。新しい時期、新しい情勢の下で、中国側は引き続き戦略的高さと長期的角度から中朝関係を見て対するであろう」と明らかにした。これと関連し北韓大学院大学校のヤン・ムジン教授は「米中対立が続く局面の中でも大きな枠組みと長期的観点から朝中関係を持っていくという意味とみられる。聞き方によっては『うまくやれ』という多少とげのある対北朝鮮メッセージかもしれない」という分析を出した。

2024/09/09 16:50
https://japanese.joins.com/JArticle/323470

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)