チャイナ・タウンと化す済州、看板・飲食・従業員も「中国人に合わせりゃ商売繁盛」(下)

投稿者: | 2024年9月17日

 伝統市場や飲食業だけでなく、済州道観光と関連したほとんどの産業に中国人の経済力が影響を及ぼしている。済州島で29年間タクシー業を営んでいるイムさん(67)は「済州島の運転手の中で中国人対象の長距離運行だけを行う人がいて、たまに韓国人観光客から『済州島はタクシーがないのか』という苦情が入ったりもする」とし「夜間に空港から入国する中国人観光客だけを相手しても年俸6000万-7000万ウォン(約650万-760万円)は稼ぐほど、観光客が多い」という。

 最近は主に中国で使われている電子決済システム「アリペイ」なども済州道のあちこちで容易に見受けることができる。済州観光公社によると、済州東門在来市場と西帰浦毎日オルレ市場内の「アリペイ・プラス」の決済金額は3月に約1700万ウォン(約180万円)だったが、5月には約15倍となる約2億5000万ウォン(約2700万円)となった。アリペイとウィチャットペイの加盟店も済州道で急速に増えている。アリペイ、ウィチャットペイの韓国公式代行会社「ICBKS加入センター」を運営するイ・ゴンセさん(51)は「済州道内のアリペイやウィチャットペイへの加盟店は、昨年に比べて70-80%ほど増え、中国人が頻繁に訪れる済州市蓮洞などは全体の50-60%が加盟店となっている」という。

 中国人がよく訪れる済州市の免税店やホテルの周辺には、中国人観光客を狙った食品店が多数集まっているが、この中には値札が中国貨幣人民元で表記されている所もあった。同店の中国人従業員とは韓国語で疎通することが難しく、翻訳機を通じて対話することができたが、同従業員は「値段は人民元で表記されてはいるが、韓国ウォンで受け取っている」と話した。ここでは済州島の特産品だけでなく、麻婆豆腐のソース、高梁酒など、中国の食料品も多数販売されていた。

 中国人が特に済州島を訪れる理由について、済州国際大学ホテル観光経営学科のキム・ウィグン教授は「済州島は韓国で唯一、中国人がビザなしで入国できる所であり、北京や上海などの大都市から近い」とし「中国は南や東など海岸都市に住む人々を除けば内陸に住んでいるケースがほとんどで、海に囲まれた済州島は中国人にとっては旅行地として非常に魅力的」と分析する。

 中国人観光客が増え、関連犯罪や各種の問題も浮き彫りとなっている。6月には済州島のある大通り沿いで中国人観光客と思われる子どもがズボンを下ろして用を足す姿が目撃され、苦情が相次いだ。済州警察庁によると、2019年から22年まで外国人犯罪のうち容疑者が中国人であるケースが毎年60%前後だ。特に昨年は中国人による強盗犯罪が16件に上ったが、これは19年から22年までの数値(8件)の2倍に上る。

 中国人観光客の経済力に依存することが多くなったことで、これら中国人が一気に来なくなればソウル市明洞のように島全体で「空洞化現象」が起きかねないとする声も上がっている。漢陽大学観光学部のキム・ナムジョ教授は「現在は中国人観光客に対する依存度が非常に高いため、もし中国政府との葛藤により観光客の足取りが途切れた場合、済州道の経済自体が揺すられる危険性がある」とし「その昔、日本人や中国人などの外国人だけをターゲットとしていた明洞商圏が、国境の閉鎖されたコロナ禍を通じて完全に崩壊してしまったように、済州道もがらんとしてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らした。

済州=キム・ビョングォン記者

2024/09/17 07:30
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/09/09/2024090980043.html

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