日本が欧州連合(EU)と経済安全保障の強化に向けた共同構想を打ち出す。電気自動車・太陽光パネルなど特定産業で巨額の補助金政策で不当に安い製品を輸出する「特定国家」に対する依存を減らそうという内容が盛り込まれる予定だ。事実上、中国を狙った措置とみられる。
28日付の読売新聞によると、日本の上川陽子外相、齋藤健経済産業相、EUの執行機関・欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長が来月初め、フランス・パリでハイレベル経済対話を開くことで合意した。この場で脱炭素分野支援策と物品の公共調達に関する共通規範を盛り込んだ共同構想が発表される。
草案には持続可能性、透明性、信頼性という共通の原則に基づいたサプライチェーンの構築を推進するという内容が盛り込まれたと読売は伝えた。協力の対象には電気自動車、太陽光パネルなど脱炭素に関連した幅広い製品が含まれるものとみられる。
両側が人工知能(AI)、先端半導体など重要な技術分野でリスク分析、技術流出の防止などを通じて経済安全保障を強化することも共同声明に含まれる。日本とEUが経済安保の強化に関連して具体的な声明を打ち出すのは今回が初めてだ。
両側は共同声明で「市場をゆがめる産業補助金などの結果、戦略物資で特定の供給源に頼り、貿易が兵器化している」と懸念も示すことにした。
実際、電気自動車・太陽光パネル分野などで中国の低価格攻勢が激しい。これに伴い、双方とも中国産安価な太陽光パネルなどに大きく依存する状況だ。読売新聞は「欧州では中国政府が自国企業に巨額の補助金を出し、意図的に価格を低く抑えているとして不満を募らせている」と伝えた。2022年、中国の対EU貿易黒字は約4000億ユーロ(約67兆6000億円)で過去最大を記録した。
読売新聞は「ただ中国は重要な貿易相手」とし「両側は中国製品を市場から排除するのではなく、戦略物資や重要技術で中国への依存度を下げる『デリスキング(リスク低減)』を目指す考えで一致している」と伝えた。
特に、今回の合意は、双方が保護主義政策で不要な競争を繰り広げる状況を避けようとする狙いもある。日本とEUは、国際的な共通原則を制定し、米国をはじめとする主要7カ国(G7)と新興・途上国とも協力を推進する内容も含む見通しだ。これに先立って日米政府は補助金支給要件など脱炭素分野に対する規則整備に合意したことがある。
2024/04/30 06:50
https://japanese.joins.com/JArticle/318025