自民党の新総裁に選出された石破茂元幹事長が来月1日、臨時国会で第102代日本首相に就任する。石破総裁が過去の歴史問題でこれまでの首相たちと違って穏健な声を上げてきただけに、韓日関係の改善に対する期待感が高まっているが、自民党内に安倍派の影響力が依然として残っているため、歴史問題に対する日本政府の立場には大幅な変化はないという見方もある。
石破氏は決選投票で争った極右性向の高市早苗経済安保担当相とは違い、韓日歴史問題認識で一貫して前向きな立場を示してきた。石破氏は2019年8月、韓国政府の韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)終了決定後、自身のブログへの投稿で、「我が国が敗戦後、戦争責任を正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にある」と書いた。今回の総裁選挙を控えて彼が出版した著書『保守政治家 わが政策、わが天命』では「合併がどれほど相手国の国民の誇りやアイデンティティに傷づけるものであったのか、このことに対する理解を欠いたままでは、日韓の真の信頼関係は築けないと思う」と綴った。
専門家らは、石破総裁の当選は韓国にとって悪いことではないと口をそろえた。 ただし、石破総裁が両国関係で韓国が望む水準まで前向きな姿勢を見せるかどうかについては、もう少し見守らなければならないという見解も少なくない。何より国交正常化60周年を迎える来年には、両国関係に影響を及ぼす懸案がかなり多い。まず「(韓日)両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(JDZ協定)の終了通知が可能な時点が到来する。日本による植民地時代 強制動員被害者の判決金に対する供託不受理に対する異議申立て裁判も終了する。韓国の日本専門家の中には、石破総裁がこれらの懸案と関連して下す決定が、日本政府のこれまでの決定と大きくは変わらないとみる人も少なくない。
聖公会大学のヤン・ギホ教授は「自民党内の派閥の力関係上、石破総裁の手腕を発揮できるのはそれほど多くないだろう」としたうえで、「強制動員や『慰安婦』問題に日本政府が示してきた強硬な態度は簡単には変わらないだろう」と予想した。牙山政策研究院のチェ・ウンミ研究委員も「石破総裁が歴史問題で前向きな立場を持っているのは事実」だとしながらも、「問題は自身の所信を対外政策で展開するほど党内支持基盤が強固ではないことにある」と語った。ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン所長も「日本の外交路線は安倍元首相から岸田首相へとつながる過程で事実上すべて決定済みの状況」だとし、「(石破総裁個人の考えがどうであれ)韓日関係に大きな変化はないだろう」と予想した。
石破総裁が選挙で掲げた安全保障公約の中には、韓国と衝突する恐れのある政策も目につく。石破総裁は「日本には50の基本法があるが、安全保障基本法がない」とし、軍事関連法の制定から乗り出す方針を示唆した。石破総裁の構想の中には中国はもちろん韓国内でも懸念の声があがっているアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設もある。
2024/09/29 23:12
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