日本の本州の西側に位置する岡山県勝田郡奈義町は、日本国内で少子化の危機を克服した「奇跡のまち」と呼ばれる。
人口5700人程度の奈義町の合計特殊出生率は2019年基準で2.95人で、日本平均1.36人の2倍を超える。2022年には2.3人に若干減ったが、依然として同年の日本平均(1.26人)に比べるとはるかに高い。日本はもちろん、韓国の多くの地方自治体からの訪問が相次いでいる理由だ。
奈義町も他の地方自治体と同様に、住民の出産・育児と関連して多様な支援を行っている。だが、奈義町ならではの成功の秘訣としては「住民参加型育児支援サービス」が挙げられる。これを通じて育児を苦痛ではなく楽しみに変えたと評価されている。
奈義町は2007年から共同無料育児拠点である「なぎチャイルドホーム」を運用してきた。ここに育児カウンセラーを配置し、子どもたちと親がいつでも相談できるようにした。親同士の意見交換も自然に行われる。なぎチャイルドホームは子どもを持つ親だけでなく、すでに育児を終えたお年寄りなど既成世代も共同育児に参加するのが大きな特徴だ。これを通じて住民全体が育児を応援する雰囲気を作った。一時的な金銭支援とは異なり、住民間の相互連携を通じて持続的に助け合う形は育児の安定感を一層高めた。
奈義町が少子化対策に本格的に乗り出したのは約20年前だ。当時、小泉純一郎政権は人口減少で消滅の危機に瀕した自治体間の合併を推進した。奈義町も2002年に隣の町との合併を住民投票に付したが、単独で運営する方を選んだ。これをきっかけに1億5600万円の少子化対策予算を組んだ。2022年には一般会計予算60億円のうち9億円(15%)が少子化支援予算だった。奈義町は昨年、読売新聞とのインタビューで、人口維持のために青年層を引き寄せるためには、安心して育児ができる環境が大前提だと強調した。
奈義町は育児支援とは別に青年の定住と就職支援のために住宅整備を行い、工業団地づくりと企業の誘致にも取り組んだ。2017年には「しごとコンビニ」事業を始めた。一日のうち一部の時間だけ働きたい住民と、人材が必要な事業者を繋ぐ。横浜市立大学のクック・ジュンホ教授(経済学)は「地方自治体が地域の実情に合わせて育児支援サービスを提供することが中央政府の一律的な経済支援より効率的であることを示している」と語った。
2024/10/08 10:14
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