「100年ぶりの大転換論」と韓国の未来 [朴露子の韓国、内と外]

投稿者: | 2024年12月5日

 個人であれ社会であれ、その主体は何らかの「大きな絵」を背景にしてその歩みを開拓していく。世界に対する理解の基本的枠組み、そして未来に対する予測がなければいかなる決断も下せなくなる。例えば、医大に行く人たちは多くの場合「医師という職業が自分の未来を約束してくれる高所得職種」という「大きな絵」を描いただろう。米国留学を希望する人なら「米国学位」の権威ないし英語という文化資本の価値は当分高いと未来を予測する。

 では今日、韓国と地政学的に反対の陣営に属している中国、北朝鮮、ロシアなどの指導層が持っている「大きな絵」は果たして何だろうか?一言で要約すれば、それはモスクワを訪問した席で習近平がプーチンに話した「100年ぶりの大転換論」だ。すなわち、阿片戦争以後の19世紀、20世紀を謳歌した欧米圏中心の国際秩序が今や衰退していくという信念は習近平政治の主要「背景」に該当する。プーチン大統領の話を聴いたプーチン大統領も「西側の衰退」を信じていなければ、ウクライナ侵攻など武力を通じたロシア帝国復旧プロジェクトに着手できなかっただろう。さらに、プーチン大統領と1950年代初めの中朝関係を彷彿とさせる「蜜月」を楽しむ北朝鮮の労働新聞も、プーチン大統領が好む「米国覇権衰退論」などを連日取り上げている。金正恩(キム・ジョンウン)氏もこの談論を信頼していなかったら、果たして今のように果敢にプーチン氏と同じ船に乗ることができただろうか?

 それでは習近平、プーチン、金正恩の共通の信条である「欧米圏衰退論」とは果たしてどの程度妥当なのだろうか?「西方覇権没落」の予測は過去に多かったが、どれも「合理的」とは言い難かった。第1次世界大戦の衝撃でオスヴァルト・シュペングラー(1880~1936)の「西洋の没落」(1918)が出て、一時世界的に話題になったが、この本は結局客観的現実を正しく判断したというよりは、正統的保守主義者だった著者の米国発「技術文明」に対する反感などを主に反映したものだった。太平洋戦争時代には、日本の国家主義的「京都学派」やその影響を強く受けた朝鮮の朴英煕(パク・ヨンヒ、1901~1950)のような転向した知識人たちが「西洋自由主義の破滅」を声高に叫んだが、結局日本こそ破滅を迎え、ついに自由主義的帝国である米国の侯国に再編されてしまった。それでは、果たして今、北京や平壌、あるいはモスクワで信じられる「欧米圏衰退論」というのも、このような類の希望的思考に過ぎない我田引水格の虚構的な話だろうか?

 必ずしもそうではない。まずは経済的側面から見てみよう。韓国の社会主義者や自由主義者の大規模な転向が始まった1938年当時、1990年のドル価値で計算された米国の国内総生産(約8千億ドル)は、ドイツと日本、イタリアなどファシズム国家の国内総生産を合わせたものより大きかった。すなわち、物資戦で米国は彼らを相手に単独で戦っても勝算があるほどだった。かつての運動圏の人々が大挙転向した東欧圏没落の年、すなわち1991年にも事情は依然として基本的に同様だった。名目世界総生産の67%程度は欧米圏と日本が占めていた。没落した東欧圏が世界総生産に占めていた比重はわずか9%程度であり、中国の比重は3%前後だった。

 ところが、約30年が過ぎた現在では、世界経済の版図が全く変わった。名目価値で見ても、世界総生産に中国が占める割合(16.9%)は、欧州連合が占める割合(17.3%)とほぼ同じだ。仮に購買力比で計算すると、欧米圏の比重の低下は相対的にさらに顕著に見える。米国がイラクに侵攻した2003年に、米国が主導したG7諸国の総生産は依然として世界総生産の43%をも占めていたが、今この割合は30%に過ぎない。欧米圏は今でも世界的資本蓄積の中心であるが、欧米圏以外の資本蓄積のハブが存在しなかった過去とは異なり、もはや様々なハブの一つに過ぎない。多元化した世界では、かつて絶対的だった欧米圏の位置ももはや相対化してしまった。

 政治的にも欧米圏の相対化が進む。東欧圏が滅びた1991年当時、北朝鮮の崩壊と中国の民主化、すなわち「党」国家体制の終焉は究極的に時間の問題だと、ほとんどの西側の分析家は信じていた。ところが、当時「歴史の終わり」、すなわち米国式自由民主主義の不可逆的完勝を語ったフランシス・フクヤマの最近のインタビューのタイトルは意味深長だ。それはまさに「民主主義的モデルの危機?」というタイトルだった。中国の当局者は、民主化どころか経済的競争で米国を守勢に追い込んだ。「崩壊」すると信じられていた北朝鮮の砲弾やミサイルは、今ウクライナで韓国産兵器と一種の代理戦争を行っている。そして西側ではトランプのように孤立主義を掲げ、自由民主主義以上に「強力な国家」を叫ぶ政客がますます勢力を得ている。気候危機を含め複合多重の危機を経験している資本主義世界体制で今要請されるのは、経済と社会のあらゆる方面で強力な介入ができる、高度に発展した行政国家だ。この状況でハンガリーのような一部のヨーロッパ社会でさえも中国の党国家が「ベンチマーキング」対象になるということは果たして驚くべきことだろうか?

 約20年後になれば米国の外債は国内総生産の200%程度の手に負えない水準に達するだろうが、米国は明日あさってに破産することはないだろう。米ドルの世界基軸通貨としての位置づけや、米国の海外軍事基地のネットワークなども、少なくとも当面は維持されるとみられる。だとしても長期的な傾向は間違いない。習近平やプーチンは「西方の衰退」を中国ないしロシア帝国主義の「堀起」の機会に利用しようとすることは明らかだが、彼らが持っている西欧勢力の漸次衰退の「大きな絵」は少なくともある程度客観的現実を反映していたりもする。この現実は、韓国の外交戦略だけでなく、韓国人の常識ないし普遍的認識論における大転換を要求する。貿易国家としての韓国に必要な開放的な世界秩序を米国が維持した時代も、欧米圏が「先進国」だった時代もすでに過ぎ去った。これからは自らの行為者性を発揮し、望ましい国際秩序や気候危機の時代に合った生産と消費のモデルを作っていかなければならないだろう。

2024/12/04 07:04
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/51814.html

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