中国上海で会計として働いているマギー・シューさん(29)は毎日のランチを近くの国営飲食店で取っている。10~15人民元(約210~317円)出せば、十分お腹を満たすことができるほどの料理が皿いっぱいに出てくる。国家支援を受けている国営飲食店の主要利用客は主に高齢者だが、最近では若い高所得会社員が長蛇の列に並ぶ光景を簡単に目にすることができる。シューさんはニューヨーク・タイムズ(NYT)とのインタビューで「こうしてでもお金をもっと節約して貯蓄してこそ安全だと感じる」とし「未来に対する不安を払拭することができない」と吐露した。
不動産危機や高い青年失業率などで中国経済が深刻な不振に直面している昨今、若年層の間では衣食住全般にわたって「超格安消費」が続いている。低価格メニューでおかわり自由の国家支援国営飲食店に消費が集中していて、最小限のお金でご飯が食べられる「こじき食」の人気もうなぎのぼりだ。今年の年頭から続くこのような超格安消費ブームによってデフレーション(景気低迷中の物価下落)を圧迫する定数になっている。
◇瞬間トレンドではない「生存闘争」中
NYTや日本経済新聞など外信は、特に中国人口の20%を占める中国のZ世代(1995年~2009年出生)が自国経済に強い疑問を持ち「超格安消費」を主導していると分析した。
一例として、最小限のお金を出せば食べることができるフランチャイズのメニューを意味す「窮鬼(乞食)セット」が競争的に拡散している。マクドナルドやKFCなどで行われる無料試食行事や半額割引キャンペーンを曜日別に目録を作ってSNS上でシェアしたり自分で最低価格の食材を空輸してご飯・汁物・おかずなどでシンプルな献立を作ったりするような形だ。格式ある民間レストランは閉店が続いているが、「2元ベーカリー」のようなフランチャイズは急速に店舗数を伸ばしている。中国企業情報提供企業「QCC(企査査)」によると、今年1-3月期中国で廃業したレストランは45万9000軒に達する。これは昨年同期比232%増えた数値だ。
寺院に滞在するいわゆる「テンプルステイ」も時ならぬ好況を享受している。瞑想などが入ったプログラムに従いながら3食つきでも80元しかしないため、「ケチテク」(ケチ+財テク)を好む中国若年層にホテルの代案として人気が高まっている。中国版Airbnbと呼ばれる宿泊シェア企業「小猪(シャオジュー)」は今年2月の春節(中国正月)期間、Z世代ユーザーの「寺院」検索が24倍増加したと明らかにした。
ドイツ・マックスプランク研究所中国学研究委員のシャン・ビャオ氏は日本経済新聞とのインタビューで、このような超格安消費を「単なる反消費の流れだと解釈すべきではない」とし「将来に対する不安、幼い頃から与えられてきたものに対する疑い、失望感が深まっている」と分析した。
2024/05/06 08:32
https://japanese.joins.com/JArticle/318261