「米国はパリ協定離脱により1兆ドル(約155兆円)以上を節約できるでしょう」。
20日にトランプ米大統領がこうした話とともに気候変動対応への国際的枠組みのパリ協定から再離脱するという大統領令に署名すると、米ワシントンDCの室内競技場キャピタルワンアリーナに集まった支持者から歓声があふれた。トランプ大統領は続けて国連に協定離脱を伝える書簡に署名した後、ペンを聴衆に投げた。より強力な反気候政策路線を宣言した第2次トランプ政権の今後の歩みを象徴する場面だった。
◇3年以上かかった初めての離脱…今回は1年後に公式化
パリ協定は2015年の国連気候変動会議で採択された国際協定だ。地球の温度上昇幅を産業化以前と比べ1.5度以下に制限するために努力するという目標に基づいて気候行動に参加するという内容を含んでいる。韓国をはじめこの協定に参加した国は温室効果ガス縮小目標を5年単位で提出して履行してきた。
トランプ大統領は第1次政権当時の2017年6月にも離脱を宣言した。パリ協定が米国企業と労働者に不公正な負担を与えるという理由だった。だが実際に離脱の効果はほとんど現れなかった。当時は協定発効の3年後から国連に離脱を通知でき、1年の猶予期間が適用されるという規定により、2020年11月になって正式に離脱できた。翌年1月にバイデン前大統領が就任するとすぐ協定に再加入した。
今回は状況が違う。1年の猶予期間だけが適用されるため来年1月から効力を発揮できる。米政治メディアのポリティコは「今回はトランプ氏が内外に極右同盟を多く保有した状況で(協定が)さらに早く発効されるため国際的な気候努力に対する拒否がさらに深い傷を残しかねない」と分析した。
◇「電気自動車義務化撤回…望む車を買えるだろう」
トランプ氏はバイデン政権の気候・環境政策を縮小または廃止すると予想される。再生可能エネルギー拡大とエコカー転換を誘導するためのインフレ抑制法が代表的だ。彼はこの日の就任演説で「米国は地球上のどの国より多くの量の石油とガスを保有しており、それを使うだろう」としながら化石燃料時代の復活を宣言した。また「電気自動車義務化を撤回して自動車産業を救い、みなさんは望む車を買えるようになるだろう」ともした。
国際気候研究団体カーボンブリーフはトランプ氏の大統領当選により米国の炭素排出量がバイデン前大統領の計画より2030年まで40億トン増えると予測した。これは欧州連合(EU)と日本の年間排出量に匹敵する量だ。
これに対しトランプ大統領帰還の余波は懸念ほど大きくないという主張もある。第1次トランプ政権当時とは違い脱炭素経済が大きく成長した状態のため全般的な流れ自体は止められないという理由からだ。
米国進歩センター(CAP)のフランシス・コロン国際気候政策選任ディレクターは「インフレ抑制法の資金の大部分はすでに配分され、各州では予算を執行してグリーンエネルギーと産業を推進するインセンティブを提供している。こうした動きは共和党基盤の保守指向の州でも起きているため基調は続くものとみられる」と話した。
国際社会の気候リーダーシップも欧州や中国などを中心に再編される可能性が大きい。韓国環境研究院のキム・ソンジン炭素中立研究室長は「EU中心の規制強化と他の国の緩い規制の間の気候政策二極化が予想される。米国の気候リーダーシップ不在の中で韓国は多国間主義的協力強化を通じて調停者の役割を遂行しなければならない」とした。
2025/01/22 09:31
https://japanese.joins.com/JArticle/328937