歯科訪問診療 日本は毎年1100万件、韓国は訪問診療自体がない

投稿者: | 2025年2月23日

 東京都内から車で50分の所にある北郊外の町、成増を訪れた。2月3日の朝、成増駅近くにある重症患者のケア施設「医心館」に訪問歯科診療チームが訪れた。歯科医師と歯科衛生士、訪問診療チームの運転手の3人だ。週に1度行われる定期訪問だ。

 医心館には、脳卒中の後遺症患者、大腿(だいたい)骨骨折で身動きが取れない高齢患者、末期がん患者、パーキンソン病など退行性脳疾患患者などを含む約40人が入所している。彼らは体の動きが困難で、歯と口腔(こうくう)疾患の治療を訪問診療チームに依頼している。

■日本、訪問歯科診療の活性化

 訪問歯科診療チームは、パーキンソン病を患っている83歳の女性の病室を訪れた。歯科医が口腔状態を検診し、口内炎を治療。歯科衛生士は舌に付いた舌苔(ぜったい)を除去し、歯間ブラシで歯の間に挟まった汚物を除去した。15分ほどかかる診療作業だった。同日午前、訪問歯科診療チームは複数の病室を回りながら入所患者9人を診療した。歯周炎を治療し、口腔と歯のクリーニングを行い、時には入れ歯を外して話したり飲み込んだりする機能がどの程度なのかも測定する。

 訪問歯科診療チームは、体の不自由な患者の家も訪問する。足の骨の骨折で身動きが取れず、ベッドの上で過ごす85歳の女性患者は、総入れ歯だけで暮らしていた。入れ歯は口の中で動き続けるため、時には突出した入れ歯の部分が口蓋(こうがい)に当たり、潰瘍を引き起こす。患者はこれによって痛みを感じていた。これに対し訪問診療チームは、「ウィーン」という音がする歯科用電動機を用いて入れ歯の突出部位を削ることで、口蓋に触れないように作り直した。入れ歯の出し入れを繰り返し行い、患者が痛みを感じなくなるまで修正した。

 訪問歯科診療チームは、高齢で身動きが取れない92歳の女性患者の自宅も訪れた。患者は飲み込み機能が低下し、水を飲むと水が食道に流れず、気道と肺の方に流れ込むため、むせたようにせきをする。食べ物と水が肺に入って誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こす恐れがあった。

 そこで歯科診療チームは、簡易内視鏡装置を取り出して患者の咽頭と喉頭の機能をチェックした。患者にとろみのある粘度の飲み物を飲み込ませた後、この飲み物が食道ではなく気道に入ってしまわないか、携帯用iPad(アイパッド)に連結した内視鏡画面を見ながら確認した。訪問診療チームの若杉葉子歯科医(悠翔〈ゆうしょう〉会医療法人在宅医療部歯科部長)は「内視鏡検査を通じて患者の飲み込み能力のレベルに合った水の粘度を求めて普及する」とし「そうしてこそ、むせて生じる誤嚥性肺炎を予防することができる」と述べた。

 日本は2000年代初め、65歳以上の高齢人口の占める割合が20%を超える超高齢社会に突入し、一般医師の訪問診療はもちろんのこと、訪問歯科診療を本格的に導入した。現在では、全国の歯科医院6万6843カ所のうち、約21%に相当する1万4000カ所が訪問歯科診療を実施している。ある医院で月平均70件余りの訪問診療が行われている。これを基に計算すると、1年間の訪問歯科診療件数はざっと1100万件と推算される。

2025/02/23 09:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/02/22/2025022280007.html

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