人口10万の小都市千歳市に18.8兆円の経済効果、ラピダスが変えた

投稿者: | 2025年2月25日

12日に訪ねた北海道千歳市。雪が降りしきる中でも都心部のあちこちでマンションやホテルの工事が進んでいた。夜中に降った雪を掃いていた千歳駅近くの飲食店主は「ラピダスが工場を建設し近くに大きなマンションができ始めた。今後この辺りにも商店がたくさんできないだろうか」と期待を示した。

人口9万8000人ほどの小都市の千歳が変化している。いわゆる「ラピダス効果」だ。日本政府の全面的な支援とトヨタ自動車、ソフトバンクのような日本の大企業8社が出資して2022年8月に設立されたラピダスがここに工場建設を始めて2年ほど。4月の本格的な試験稼動を控え37社に上る半導体関連企業が事務所を置くことにし、千歳市内のオフィス物件は底をついた。半導体特需を狙った57社も進出を検討し駅前通りに沿って不動産が相次いで誕生した。不動産の前には今年初めに竣工予定の新規住宅分譲と賃貸広告がびっしりと張り出された。

 北海道経済連合会が試算したラピダス効果は2023~2036年で18兆8000億円。これまで人口減少に苦しんだ千歳市は2036年までに人口が10万2246人に増える見通しだ。ラピダス誘致による期待感も相当にある。千歳市の横田隆一市長は「ラピダスを始まりに半導体産業クラスターが形成されるだろう。日本がなくした最先端半導体技術を取り戻すのは日本の技術立国への復活につながると確信する」と強調した。

「速い」という意味のラテン語から社名を付けたラピダスは工場建設に向け速度戦を行った。この速度戦を後押ししたのは千歳市だった。次世代半導体拠点推進室を作り、2023年2月にラピダスが千歳科学技術大学と隣接する産業団地を工場予定地に選定した直後から6人の職員は昼夜をわかたず働いた。工場建設に必要な各種許認可手続きから道路管理と宿舎確保などに向け夜を徹した会議も辞さなかった。次世代半導体拠点推進室の森周一室長は「ラピダスは複数の工事を昼夜問わずに同時に進め、建設現場が不夜城になるほどの恐ろしいスピードで工場を建てた」と説明した。「1時間でも工事が遅れれば20億円の損失を出す」という理由からだった。森室長は「ラピダスには日本の根性がある。すべての社員が絶対に2ナノを成功させるという根性を持って働いている」と説明した。彼は「(2ナノ量産が)難しいという否定的な話もあるが、ラピダスを契機に新しい未来が待っていると考える」と話した。

ラピダスの速度戦に合わせるため千歳市は半導体生産に必須である用水供給計画だけでなく建設支援にも出た。世界最大のファウンドリー会社である台湾のTSMCが熊本に作っている工場も事前に視察した。最も気を配ったのは交通問題だった。道路整備がまともにされておらず朝夕の慢性的な渋滞を体験している熊本の前轍を踏まないためだ。千歳市は1日最大4000人が建設に動員されるだけに車の渋滞を防ぐため事前に建設会社と相談してルールを作った。空港からラピダスの工場がある産業団地に入るただ1本の国道で建設車両が一般車両と入り乱れないように路線を組んだ。ラピダス社員が自家用車を利用しないようにしたのも千歳市のアイデアだった。代わりに工場用地3カ所に駐車場を作り、社員がバスで通勤するようにした。慢性的な渋滞をなくして建設スピードを速め、住民の不便も解消する一石二鳥を狙ったものだった。効果はあった。1日最大1000台以上の車が出入りするが、これまで渋滞は一度も発生していない。

これだけでない。半導体室の職員は直接グルメ情報のガイドブックを作り、毎朝工場の前で工場建設作業員の出勤途中に配布するほど力を入れた。ラピダス工場建設という「温もり」を実際に近隣の商人も体感できるようにするためだった。横田市長は「今後2年間でラピダスの大量生産体制が備わる間に都市の姿もさらに変化するだろう」と強調した。2030年までにラピダスの追加生産ライン建設だけでなく、半導体設計、研究開発など半導体産業集積化を念頭に置いて「ラピダスの近く、空港周辺に新しい産業団地を造成するための準備をしている」ということだ。彼は「日本の半導体産業が復活するものと信じている。地域住民とともにラピダスの成功に向けて努力していくだろう」と強調した。

2025/02/25 11:29
https://japanese.joins.com/JArticle/330344

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