◇「トランプ氏の真の同盟はロシア・中国・北朝鮮」
–トランプ政府の外交政策をどのように評価するか。
「トランプ氏は第2次世界大戦以降、80年間維持されてきた同盟体制と世界政府の構造を体系的に解体している。トランプ氏の真の同盟は『多国間主義』という名で戦後秩序を破壊しようとするロシア・中国・北朝鮮・イランなどの仲間の権威主義政権だ」
–米ロ密着に対する国際社会の懸念が大きい。
「トランプ氏はヒトラー(ドイツ)・スターリン(旧ソ連)条約と似たような方式でロシアのプーチン氏と交渉している。これは欧州をロシアの手中に委ねる危険な状況をもたらす場合がある。トランプ氏は中国とも同じような交渉を行うだろう。私は韓国、日本との同盟も危険に直面していると考える。時間は少しかかると思うが」
◇「トランプ氏は孤立主義者であり帝国主義者」
–グリーンランドとカナダに対する併合欲をむき出しにしたトランプ氏が膨張主義の属性を持っているという分析もある。
「トランプ氏は孤立主義者であり帝国主義者だ。この二つは互いに矛盾しない。彼は西半球全体に対する米国の帝国主義的支配を主張しようとする狙いがあるようだ。欧州はプーチンに、東アジアは習近平(中国国家主席)に帝国主義的統制権を同じように譲歩する準備ができているようだ。トランプの帝国主義的論理を深刻に考えなければならないと考える」
–トランプ氏は就任後、過去のどの大統領より多くの仕事をしたという。
「われわれが目撃したことは米国の民主主義が南北戦争以後最も大きな危機に直面したことだ。内部から古い法秩序を転覆し、共和国を形成した根本的価値と理念を、それとは真逆の権威主義政権に変えようとする明らかかつ意識的な試みがある。私はトランプ氏とバンス氏、そしてイーロン・マスク〔テスラ(Tesla)〕CEOを中心にしたイデオロギー主義者が米国の民主主義だけでなく全世界の民主政府に脅威になるネオファシストだと信じている」
–トランプ大統領支持率は比較的安定的だが。
「私は来年の中間選挙の実施の有無さえ疑わしいとみている。ネオファシストは1933年にヒトラーがそうしたように、テロ事件などを操作して緊急事態を宣言する方式で選挙を行わない口実を探そうとするだろう」
ドイツ・ナチス政権は1933年2月27日にベルリン国会議事堂放火事件が発生すると「共産主義者などの陰謀」と主張してドイツ憲法の基本権を停止させて言論・集会・表現の自由を禁止した。ドイツ総選挙は同年3月5日に予定通りに行われたが、恐怖雰囲気の中で行われ、ナチス政権が独裁へと進む足掛かりを用意したという評価がある。スナイダー氏はこの部分で「とても暗く語って申し訳ないが、私の視点にはそう映る」とし「民主主義に関する限り、韓国は米国人が従うべき輝かしいモデル」と話した。
◇「プーチン氏に譲歩後、北朝鮮に対して交渉の可能性」
–トランプ氏が北朝鮮首脳外交再開に対する意志を明らかにしたが、どのように展望するか。
「トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)氏と再開し、シンガポールとハノイで追求した交渉を終えたいという欲を確かに持っている。だが、ハノイ交渉に戻るのは不可能だ。ロシアの支援を受けていて中国とも緊密な関係を維持している正恩氏がこれ以上トランプ氏との大胆な交渉に関心を持っていない可能性もある。あるかもしれない唯一の交渉は在韓米軍撤退の対価として核兵器を凍結すること程度ではないだろうか。このような交渉はトランプ氏がウクライナ終戦交渉でプーチン氏に多くのことを譲歩した後で行われる可能性がある」
–トランプ政府「関税戦争」に備えるために韓国に助言するなら。
「自動車関税を含めて疑う余地なく韓国に非常に直接的な打撃を与える広範囲な関税が賦課されるだろう。韓国は米国以外の同盟国、特に日本や欧州連合(EU)とのしっかりとした連帯を模索しなければならない。このような共同対応は国際貿易システムで機能が可能な部分を生かし、これらの国々との間の貿易強化につながるだろう」
◆ダニエル・スナイダー
米国コロンビア大学で東アジア史学士学位を、ハーバード大学ケネディ行政大学院で行政学修士学位を取得。現在スタンフォード大学で国際政策および東アジア学を教え、韓米経済研究所(KEI)で非常勤碩座研究員として活動している。米国のアジア外交安保政策や韓日外交政策などを研究し、1985～1990年クリスチャン・サイエンス・モニターの東京特派員として勤務し、韓日外交関係などを取材した。共著として出した本『二つのコリア』、『分裂された記憶』などがある。
2025/03/04 10:28
https://japanese.joins.com/JArticle/330638