失われた30年終わった…円上昇の兆しに大きくなる円キャリー解消の懸念

投稿者: | 2025年3月23日

「円安時代」が終わろうとしている。日本経済が30年以上続いた長期不況から抜け出す兆しを見せ円相場が上昇している。日本銀行の追加的な金利引き上げシグナルにより、低金利の円を借り入れて高金利の資産に投資する円キャリートレード解消の懸念も出ている。

日本銀行は19日、政策金利を年0.5%で据え置いた。米国の関税など不確実な対外リスクを考慮した政策とみられる。だが日本銀行の植田和男総裁はこの日の通貨政策決定会合後の記者会見で、政策金利を引き上げ、金融緩和レベルを調整していくだろうとしながら金利引き上げ基調を明確にした。こうした金利引き上げ基調により日本の債券市場は高止まりを継続している。

 日本の10年物国債利回りは6日に約16年ぶりに年1.5%を超えた。10日には1.57%まで上昇し、19日基準1.52%と1.5%台を維持している。為替市場でも円相場は上昇した。対ドルの円相場は年初の1ドル=156円台から3月に入り140円台後半まで円高が進んだ。事実上「スーパー円安時代」が終わろうとしているとの分析が出ている。

日本銀行は1月に金利をそれまでの年0.25%から0.5%に引き上げた。予想より高い経済成長率と粘り強い物価上昇が主要背景だ。日本の1月のコア消費者物価指数(CPI)は前年同期比3.2%上昇し34カ月連続で2%以上の上昇率を記録した。植田総裁は「現在はデフレではなくインフレ状態」と言及した。トランプ政権発の米国の景気低迷の懸念から安全資産である円の需要も大きくなっている。市場では円相場上昇にともなう円キャリートレード縮小の可能性を懸念する。

◇韓国銀行、円キャリー資金3兆3771億ドルと推定

しかし日本銀行の追加利上げが一時的に止まり、金融市場の急激な衝撃の可能性は減った。昨年8月5日に株価が急落した「ブラックマンデー」の時は円高の動きを受けた円キャリートレードの巻き戻しが主要因に挙げられた。当時米国とアジアの主要証券市場で日本資金が急激に抜け出し、株価が1日に最大で10%急落した。しかし今回は状況が違った。韓国銀行によると、非商業用円先物為替買い越し規模は18日基準で1兆7000億円に達する。市場が円高を予想してあらかじめ備えていたものと診断される。信栄証券リサーチセンター長のキム・ハッキュン氏は「現在ドル安と円高の流れは市場の予測範囲内にあり、円キャリートレードが急激に解消される可能性は小さい」と話した。

ただ中長期的に円キャリートレード解消のリスクが完全に消えたわけではない。市場では日本銀行が6~7月に追加利上げを断行する可能性が大きいと予想する。日本の金利が持続的に上昇すれば世界的に銀行の円建て融資しや日本の投資家の海外証券投資資金が日本に回収される速度が速くなる可能性がある。韓国銀行は円キャリートレード解消規模を世界の銀行の円建て貸付2737億ドル(2024年9月基準)のうち31.6%、海外証券投資3兆999億ドルのうち4.1%と推定している。

日本がアジア最低金利の座を抜け出し韓中日債券市場の資金の流れも変わる可能性がある。韓国と日本の30年物国債利回りが10日に初めて逆転した。韓国の超長期国債利回りが日本に逆転されたのは2016年8月以降で初めてだ。市場ではこれを日本経済の「失われた30年」回復のシグナルであり、韓国経済の低成長進入の兆候と解釈している。日本と中国の30年物国債利回りは昨年11月に初めて逆転した。西江(ソガン)大学経済大学院のキム・ヨンイク教授は「日本はデフレから抜け出したが、韓国と中国は高齢化などの影響で潜在成長率が低くなっているため。世界の金融市場の大口投資家だった日本の保険会社が今後韓国国債もあまり買わず、中国国債も減らしていくかもしれない」と話した。

また別の変数は4月の「関税戦争」だ。市場では為替戦争に広がる可能性を懸念している。すでに「第2のプラザ合意」である「マールアラーゴ合意」のシナリオが飛び交う。トランプ大統領が主要国の財務相らをマールアラーゴに招き、プラザ合意のような「マールアラーゴ合意」を推進するという仮定だ。日本経済新聞はこれについて、現時点では可能性が低いテールリスクだが、現実化する場合には外国為替市場と世界経済に及ぼす影響は大きいだろうと評価した。キム・ヨンイク教授は「トランプ大統領が4月2日に相互関税施行を予告したが、関税だけで貿易不均衡問題を解決するのは難しい。結局為替相場を調整してドル安を誘導する可能性が大きく、この場合円高の動きがさらに激しくなるかもしれない」と話した。

円高は韓国経済に両刃の剣になりかねない。日本と競争する韓国の輸出企業には肯定的な影響を及ぼす可能性があるが、世界的な流動性縮小により対外需要依存度が高い韓国にはむしろかえって悪材料として作用しかねない。金正湜教授は「対円でウォン相場が持続的に下落すれば日本製部品を輸入して完成品を生産する韓国企業の負担が大きくなり、国内物価上昇要因として作用する恐れがある。現在韓国の政治的・経済的不確実性が高く、これを緩和するウォン上昇の可能性は大きくない」と話した。

◇韓国の円テク投資家は利益確定に出る

最近の円高を受け韓国の円投資家は差益確定に乗り出している。韓国5大都市銀行の円預金残高は11日基準8884億円で、2023年5月の7259億円以降で最も少なくなった。しかし日本の利上げ基調が生きているだけに、円資産を貯めておくべきという助言も出ている。新韓プレミアのオ・ゴニョン氏は「短期差益実現よりはポートフォリオの一部、10%程度を円で維持するのが有利だろう。中長期的に円は上昇する可能性が大きく、円キャリートレード解消など急激な市場変動にも備えられる安全資産として価値がある」と話した。今年の円相場は機関や専門家により見通しがわかれるが、円高に振れるという予測が優勢だ。12月末の予想で対ドル円相場は、野村証券が140円、モルガン・スタンレーが141円だ。

2025/03/23 10:29
https://japanese.joins.com/JArticle/331558

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