トランプ大統領の「ワンストップショッピング」、韓国の防衛費など4分野に注目

投稿者: | 2025年4月10日

 「関税戦争」前夜の8日夜、ハン・ドクス大統領権限代行首相と電話会談を行ったドナルド・トランプ米大統領の構想は、相互関税を武器に在韓米軍防衛費分担金の増額とアラスカガス管への投資、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入、造船業への投資の拡大に向け、圧力を加えることだった。トランプ大統領はなぜ両国間の懸案の中でもこの4つに死活をかけているのだろうか。

 トランプ大統領によって関税交渉の責任者に指名されたスコット・ベッセント米財務長官は8日(現地時間)、CNBCとのインタビューで、韓国との交渉カードとして「アラスカ石油・天然ガス開発事業」を挙げた。このプロジェクトはアラスカのノーススロープ地域に埋蔵された天然ガスを1300キロメートルに達するパイプラインなどを作り、アラスカ南部の不動港であるニキスキーまで運搬して輸出する開発事業。総開発費だけで387億ドル(約5兆7千万憶円)と推定される超大型プロジェクトだが、事業性が不透明で米国の民間企業は早くから手を引いた。トランプ大統領は就任初日、行政命令を通じてアラスカ開発事業を「最優先に考える」と宣言した後、日本、韓国などに投資を求めている。韓国にとって、アラスカ産天然ガスは運送距離が短いというメリットがあるが、事業の経済性を担保できないため、大金をかけて高いガスを長期にわたって買わされる失策になりかねない。

 米国が韓国造船業に関心を持つのは、自国造船業の危機と関連している。強い海軍力に基づいた米国の海洋覇権は、自国造船業の衰退で深刻な危機に直面している。400カ所余りあった造船所は現在21カ所まで減っており、軍用艦艇の数は219隻で、中国(234隻)に後れを取っている。造船業の競争力が低下し、軍艦の維持・補修・整備(MRO)も同盟国に任せざるを得なくなった。韓国の造船受注シェア(昨年基準17%)は中国(71%)に次いで世界2位。米国の要求は、韓国の造船企業が米国内の造船所に投資し、米国で船を作れということだ。この場合、国内投資が萎縮し、造船業の雇用まで減る副作用を伴うため、政府と企業が細密な青写真を持って交渉する必要がある。

 第1次トランプ政権時代から韓国に在韓米軍防衛費分担金の大幅引き上げを求めてきたトランプ大統領は、ハン・ドクス権限代行との電話会談後も、防衛費分担金問題を特に強調した。韓国は、米大統領選挙を控えた昨年10月、バイデン政権と2026年から適用する防衛費分担金を1兆5192億ウォン(約1550億円)に決め、2030年までに毎年消費者物価指数の増加率によって引き上げる防衛費分担金特別協定を妥結し、国会批准まで終えたが、トランプ大統領は頑としてこれを無視し、再交渉を通じた大規模増額を引き出そうとしている。米国防総省も、韓国防衛費分担金の大幅引き上げと在韓米軍の中国牽制の役割強化指針などをまとめたという。

 一方、韓国政府は9日、「通商環境変化対応のための政策方向」を公開し、関税対応のための「輸出バウチャー」予算を既存の2400億ウォンから1千億ウォン以上増やし、自動車産業を支援する政策金融規模も13兆ウォンから15兆ウォンに拡大すると発表した。

2025/04/09 22:29
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/52901.html

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