「核水道水怪談」で11年間稼働できず…釜山の浄水施設、工業用水生産施設へ

投稿者: | 2025年4月10日

9日午前、釜山機張郡(プサン・キジャングン)の大辺(デビョン)港。港湾に並ぶ塩辛・乾物屋台のにおいが漂う中、海に沿って2キロほどさらに東側に行くと、青い海とコントラストをなす白い巨大な施設が姿を現した。

「釜山機張海洋浄水センター」と呼ばれるこの施設は本来、海水を淡水にして住民に水道水を供給するために建てられた施設だ。2014年8月に工事が終わったものの11年間稼働していない。この日訪れた施設では貯水槽やバルブなどの錆が目に入った。海水淡水化の核心設備の逆浸透膜施設棟の内部には包装されたままの高性能フィルター数十箱があり、その上には塵が積もっていた。稼働したことがない施設のあちこちに「安全第一」の文字が見えた。この施設は結局、下水処理水を活用した工業用水生産施設に変わる。

 ◆「水道水でなく工業用水」 11年目に解決案

釜山市によると、「海水淡水化施設」として建てられたこの施設は2030年までに「工業用水生産施設」に変わる。施設は4万7000平方メートルの敷地に国・市と民間投資金1954億ウォンを投入して建設された。一日に4万5000トンの海水を淡水化して近隣住民18万人の水を供給する国内初の施設になると期待された。

釜山市が施設の位置をここに決めたのは、水質環境基準項目の一つ、化学的酸素要求量(CDD)基準で1等級判定を受けた清浄海域だったからだ。ファミョン浄水場から30キロ以上離れていて長距離の輸送となる機張・松亭(ソンジョン)水道水の水質・供給効率性の改善効果も期待された。

2008年、国土交通部傘下の「海水淡水化建設地選定推進委員会」は水質・アクセスなどを考慮して全国候補地のうち大辺里(テビョンリ)を最適地に決めた。釜山市と国土交通科学技術振興院、逆浸透圧方式淡水化技術を保有する斗山エナビリティ(旧斗山重工業)が建設に参加した。

◆原発から近い施設、「福島パニック」でオールストップ

ところが工事が進行中だった2011年3月、福島で津波による原発事故が発生した。日本と比較的近い釜山ではこの事故で流出した放射性物質により海の汚染が深刻化するという懸念が強まった。その後、施設は完工したが、水道水試験供給計画(2014年11月)を控えて一部の住民と環境団体が「古里(コリ)原発から近い(11.3キロ)施設の水道水にはトリチウムやセシウムなど放射性物質が含まれるおそれがある」と主張した。

釜山市は数十件の安全性検査の結果などを根拠に事業推進に問題はないと判断した。しかし「福島パニック」と結びついた「放射性水道水論」が広がり、結局、試験供給計画が中止になった。2016年3月の住民投票では89.3%が施設で作られた水道水の供給に反対した。投票率が26.7%で有効投票率(33.3%)には達しなかったが、供給強行が難しいほど強い反対世論が確認された。

その後、この施設の水を希望する世帯や工場に供給し、安全性検査の結果に基づいて容器に入れた水を作って官公庁に普及させる案もあったが、経済性など問題ですべて実現しなかった。2000億ウォンほど投入された施設が11年間稼働しなかった理由だ。

◆「一日に3万5000トンの工業用水、東釜山産業団地に供給」

釜山市が長考の末に出した解決策は、施設近隣の機張・日光(イルグァン)下水処理場で一次的に濾過された下水処理水(一日4万4000トン)を活用して工業用水を作る案だ。処理場を経れば自然河川に放流できるほど浄水される。これを利用すれば、洛東江(ナクドンガン)の原水を利用する場合にかかる水利用負担金などが節減され、800ウォンで工業用水1トンを生産できると予測される。施設の転換などにかかる事業費は計799億ウォン(約80億円)で、供給は20年供給契約民間投資方式(BTO)で進める予定だ。

供給先は施設から近い東釜山産業団地だ。釜山市の関係者は「東釜山産業団地の企業およそ600社は工業用水が供給されず、1トンあたり2410ウォンの生活用水3万トン以上を工業用水として使用している。施設では一日3万6000トンの工業用水生産が可能であり、価格競争力が高いと期待される」とし「民間企業も問い合わせるなど関心を見せているところがある。施設の補修および管路の設置などをして2030年からは供給を開始する計画」と明らかにした。

2025/04/10 13:21
https://japanese.joins.com/JArticle/332389

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