韓国の人工知能(AI)企業が相次いで日本進出を模索している。今年初めにソフトバンクやOpenAIなどが、いわゆる「日本版スターゲート」とよばれる大規模なAIインフラへの投資に乗りだすと、これを新たな事業の機会とするために、玄海灘を渡っているのだ。また、日本は「IT産業のガラパゴス」と呼ばれるほどデジタル・トランスフォーメーション(DX)が遅れている国と評されており、迅速なサービス競争に敏感な韓国IT企業の関心が高まっている。
AI半導体のスタートアップのRebellionsは先月、東京に初となる国外法人を設立した。日本では2023年から、マイクロソフトやグーグル、アマゾン・ウェブサービス(AWS)などの巨大IT企業が、データセンターを建設したり、増設のための大規模投資を進めたりしており、AI半導体の需要が増加している。Rebellionsの関係者は「グーグルなどは単に日本市場だけを狙うのではなく、東南アジアやアジア太平洋地域の市場まで眺めている状況」だとしたうえで、「日本政府もAIインフラ投資に積極的なので、われわれも市場性をみて進出することにした」と説明した。ファッション・プラットフォームのムシンサで初期の日本事業を担当したキム・ヘジン戦略リードが日本事業を主導することになり、現地法人長の招聘を推進中だ。
B2BのAIのスタートアップ企業であるアップステージも先月、日本法人を設立し、パナソニック・AWS出身の日本人を法人代表に選任した。同社は、巨大言語モデル(LLM)が既存の文書に入力された情報を誤りなく抽出し、業務自動化を可能にするよう助ける、AIに基づく光学文字認識(OCR)のドキュメント・プロセッシング技術「ドキュメント・パーズ(Document Parse)」などを前面に出し、日本市場攻略に乗り出す。日本は紙文書中心の業務文化が今も続いており、企業文書の電子化市場は韓国より10倍ほど大きいというのが、会社側の説明だ。
これに先立ち、メッセンジャーやウェブトゥーンを中心に2010年代から日本に進出しているネイバーとカカオも、新規事業を模索している。ネイバーの日本法人である「Naver J. Hub」は最近、旅行アプリ企業のヤノルジャの子会社のヤノルジァ・プエンビソリューションを約100億ウォン(約10億円)で買収し、日本の外食産業のDX事業に参入することにした。日本ではまだ普及率が低い顧客予約管理やテーブルオーダー・ソリューションを供給する計画だ。カカオ・モビリティーは17日、日本の中小タクシー企業100社ほどが加盟している協会「X Taxi」とスマート・タクシーインフラ構築のための基本合意書(MOU)を締結した。
日本は、電子メールやカード決済よりもファックスや現金使用に慣れ親しんでいる、いわゆる「IT産業のガラパゴス」だった。しかし、コロナ禍をきっかけに、日本政府は2021年、「デジタル庁」を新設し、社会全体のDXに拍車をかけ始めた。これを受け、昨年11月、2030年までに半導体とAI産業に少なくとも10兆円を投入する計画を打ち出したりもした。韓国IT業界の関係者は「韓国ではIT企業が進出できる市場が飽和状態である反面、日本は韓国より人口も多くて新規事業を発掘できる分野がまだ多く残っている機会の土地」だと述べた。
2025/04/22 20:56
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/53015.html