【リセットコリア】米中デカップリングの衝撃に備えて死活かけるべき=韓国

投稿者: | 2025年4月28日

国家間の経済的相互依存が深化し、過剰依存問題が台頭している。相互依存が非対称的なものになれば経済的脆弱性や不平等を招いて地政学的葛藤を誘発する場合があるためだ。戦略的競争関係にある国家はこの問題に特に敏感だ。現在、世界を揺さぶっているトランプ相互関税はとりわけ中国に集中して145%に達する関税爆弾を予定している。めちゃくちゃにも見える関税戦争宣言の裏には、米国が中国に対して抱いている過剰依存のリスクを解消したいという事情がある。

ドナルド・トランプ米大統領は2001年中国が世界貿易機関(WTO)体制に加入した後、開発途上国の地位を悪用して輸入を抑制して輸出を促進し、米国内の製造業基盤を弱めて不平等と失業を量産したと批判してきた。実際に米国の対中輸入依存度は引き続き増加してきたが、中国の対米輸出依存度は減少して相互依存の非対称性に伴う懸念が漸増している。バイデン政府は核心の鉱物輸入の多角化、貿易赤字の是正、中国の850億ドル(約12兆2000億円)規模の米国債保有額縮小など対中過剰依存を解消するためにデリスキング(de-risking)概念を動員した。相互依存が与える恩恵を享有しながらも過剰依存が招く国家安全保障リスクを縮小するために対外依存の多角化を試みて、友好国とサプライチェーンを再編して回復力を向上する一方、安全保障関連技術の遮断を推進した。

 反面、現トランプ政府は依存の多角化ではなくサプライチェーンの国内移転で依存の縮小を試みようとしている。相互関税によって中国だけでなく友好国のメキシコ・カナダ・ベトナムの輸出を遮断した理由は中国がこれらの国々を迂回輸出基地として輸出を増やしている点、結果的に米国の中国依存が持続している点を念頭に置いたものだ。同盟国の韓国と日本が中国に中間材を輸出して中国が最終材を米国に輸出する経路も遮断されている。

問題は過剰依存リスク解消のための関税措置が米中相互不信に伴う報復の相乗作用を引き起こして関税率が輸入を禁止する水準まで引き上げられたことだ。事実上、全般的なデカップリングは過剰依存や不公正行為解消など相手行為に対する措置ではなく相手国の弱化と挑戦の阻止を目的に実行される。銃声のない戦争、経済戦争といえる。

もちろん両国がデカップリングに移行することは現実的に可能なことではない。両国の経済は相変らず細かな相互依存の網でつながっているためだ。トランプ大統領が妥協を示唆したように、遠からず交渉局面へと転換するだろう。それでもすでに引き上げられた関税率、すでに設定したさまざまな輸出および輸入規制措置を元の位置に戻すことは難しい。外交的にも中国はトランプ関税対抗連帯の構築に乗り出していて、米国は主要貿易国との関税交渉で中国と取引制限を圧迫して中国孤立を追求している。その結果、両国間の相互依存の水準は顕著に下落する可能性がある。

国家間の経済的過剰依存度問題だが、過小依存はさらに大きな地政学的問題を引き起こす。緊密な相互依存の網は地政学的安定効果をもたらすためだ。東アジアで1979年中国のベトナム侵攻以降、ただの一度も全面戦争がなかった理由の一つは、主要国が地域を単位にして細かく編まれた超国籍サプライチェーンで深くつながっている点だ。中日間の領土問題を巡る対立、南シナ海の緊張状態で国家間の軍事的葛藤を避けることができた背景でもある。

韓国は風前の灯火ともいえる境遇だ。米中の二大市場に対する過剰依存リスクにさらされ、戦略的に多角化の課題を抱えている。さらに米中デカップリングリスクが高まり、二者択一のリスク、すなわちどちらか一方と相互依存の大幅縮小を甘受する状況、さらには安全保障関係の弱化状況とも向き合わなければならない。目前の対米関税交渉も重大な課題だが、米中デカップリングの動きに備えて過剰依存を縮小しつつ、適正な相互依存が保障されるように外交・産業・通商の三面からの戦略的調整が必要だ。さらに踏み込んで、類似の状況に置かれた国との協力と連帯を通じて新たな国際秩序を探さなければならないという死活的な課題を抱えている。

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ソン・ヨル/延世(ヨンセ)大学国際学大学院教授・東アジア研究院院長

2025/04/28 14:47
https://japanese.joins.com/JArticle/333100

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