2025年大阪・関西万博の会場で、警備員が来場者の前で土下座する動画が交流サイト(SNS)上に拡散されて物議を醸している。
朝日新聞などによると、この「事件」は4月17日午後4時ごろ、大阪市此花区夢洲の万博会場西ゲート付近で発生したという。SNSで共有された動画には、ピンク色のカバンを持った来場者の前で制服姿の警備員が帽子を脱ぎ、土下座している様子が写っている。目撃者は「来場者が大きな声を発していたので撮影した」と話しているという。この来場者は警備員にシャトルバスの駐車場の場所を尋ねたが、警備員は正確な場所が分からず、万博会場関連情報が表示されるデジタルサイネージ(電子看板)を案内したところ、こうした事件が発生したとのことだ。
SNSでは今回の事件を巡って、いわゆる「カスハラ(カスタマー・ハラスメント=従事者に落ち度はないのに、顧客から無理な要求や叱責〈しっせき〉を受ける行為)」ではないかと指摘されている。この動画をシェアしたXユーザーは「警備員が土下座しているのに、来場者は腕を組んでいた。万博会場の安全と秩序を守るため、来場者に対して入場禁止措置など厳正な対応が必要だ」と述べている。
日本国際博覧会協会側は「顧客からの謝罪の強要はなかった」としている。現場ではこの時、大きな騒動には発展しなかったため警備員は本部に報告せず、他の警備員の介入もなかったということだ。警備会社のマニュアルによると、このような状況が発生した場合、現地指揮本部に直ちに連絡し、複数の警備員が共に対応するよう規定している。同協会側は警備会社に報告体系の強化など対策用意を要求する一方で、警察と協力して同様のケースが発生しないよう防止する方針だ。
顧客によるパワハラを意味する「カスハラ」は日本国内で社会的問題となっている。日本の繊維や流通などの労働組合でつくる「UAゼンセン」が昨年6月、約3万3000人を対象に実施したアンケート調査によると、「2年以内でカスハラの被害にあったことがあるか」という問いに、「被害にあった」と回答した割合は46.8%に達したとのことだ。被害をタイプ別に見ると、「暴言」が39.8%で最も多く、次いで「威嚇・脅迫」14.7%、「繰り返しのクレーム」13.8%の順だった。
日本政府はカスハラ対策として労働基準法改正に着手しており、東京都など一部地方自治体では「カスタマー・ハラスメント防止条例」を制定・施行している。
イ・ヘジン記者
2025/04/29 09:20
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/04/29/2025042980017.html