「過剰生産の問題ですか。逆に中国がうまくやっていることを示しているのではないでしょうか」
最近、米国と欧州連合(EU)が指摘している中国の過剰生産問題について取材する際、ある中国公務員から聞いた言葉だ。中国が電気自動車やバッテリー、太陽光パネル産業などで過剰生産をするため、世界経済が副作用に苛まれていると、米国とEUが口を揃えて批判しているが、これに対する中国当局やメディアの態度からは不安よりも余裕と自信が感じられる。最近フランスを訪問した習近平国家主席は初めから「過剰生産問題はない」と断言した。中国のこのような自信満々な態度はどこから来るのだろうか。
先月末に訪問した北京モーターショーの主人公は、中国の自動車メーカーだった。現代やGM、BMW、トヨタなど韓国、米国、ドイツ、日本のグローバル自動車メーカーが一堂に揃ったが、さらに多くの聞きなれない中国の自動車メーカーたちが布陣していた。細部技術には違いがあるかもしれないが、ブランドのロゴを隠せば、ドイツや日本メーカのものなのか、中国メーカーのものなのかが分からなくなるほどの自動車があちこちで目についた。
北京のシャオミ(小米集団)売り場でも自信の根拠を確認することができる。シャオミは最近、電気自動車を発売して注目を集めたが、これよりさらに目を引くのは、今年に入って売り場の一面を埋め尽くしている大型テレビだ。55インチ4K級画質のテレビに1699元(約3万6千円)、75インチ4K級テレビに2999元(約6万4千円)の値札がついている。韓国や日本メーカーの類似した製品を買うためには、少なくとも100万ウォン(約11万3千円)以上払わなければならない。
昨年始まったファーウェイ(華為技術)の奮闘も注目に値する。2018年、米国の強力な制裁で打撃を受けたファーウェイはスマートフォン品質を飛躍的に高め、最近4年ぶりに中国市場販売1位を一時奪還するなど復活を遂げた。
中国製品の躍進とは対照的に、アップルやフォルクスワーゲン、テスラなど、中国で好調だった欧米企業の業績は急速に低下している。アップルの中国売上は今年に入って20%近く減少しており、テスラも同様の水準の売上減を記録している。中国の女性や青年たちに愛されていた日本の化粧品やスターバックスコーヒーなども苦戦を強いられている。
最近の中国製品の旋風を「愛国消費」あるいは中国政府の庇護のためだと片付けることもできるだろう。中国企業の善戦の裏に政府レベルの莫大な支援があり、中国人がこれに呼応して品質が多少落ちても中国産を買っているということだ。全く的外れな話ではないが、グローバル企業が激しく競争する中国市場で、政府の愛国路線はますます力を失っている。反中感情が非常に高い韓国人が中国のネット通販会社のアリエクスプレス(AliExpress)やテム(TEMU)に群がるように、中国人も財布を開ける時は愛国より自分の利益を優先する。
米国と欧州が電気自動車やバッテリー、太陽光パネルなどで中国の過剰生産を指摘したのは、中国公務員の言葉のようにこの3つの産業で中国がすでに主導権を握っていることを裏付けている可能性がある。中国が主導権を握った領域は、従来の製造業からグリーン産業へと急速に拡大している。
あいにく、この3つの産業は韓国の未来核心産業でもある。韓国はどう対応するのか。中国に関税障壁を高めようとする米国や欧州連合とは異なり、ドイツとフランスは西側として歩調を合わせると同時に、中国と協力する動きを見せている。
2024/05/09 18:48
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/49966.html