20年後、老朽化した下水管だけで「地球5周分」…韓国より深刻な日本の道路陥没

投稿者: | 2025年5月2日

 「どちらからいらっしゃいましたか? 町の住民でなければ、近づかないでください」

 29日、日本埼玉県八潮市緑町交差点付近に近づくと、安全帽をかぶった工事関係者が手を振りながら急いで出てきた。彼は両手を横に振りながら「外部の人は絶対に入ることができない。写真撮影もだめだ」と警告するように言った。約200メートル前には道路補修工事用の大型クレーン2台がそびえ立っており、実際の道路を囲んで設置されたバリケードが進入を遮断していた。付近をくまなく回ったが、状況は同じだった。スマートフォンの地図アプリにも近隣道路に大量に赤色が塗られ、通行止めを知らせるバリケードのマークも20個以上現れていた。別の道路で会った別の工事関係者は「現在の住民の中で希望する人に限り内側に入ることができる」とし、「申し訳ない」と語った。

 八潮市緑町交差点にシンクホール(道路陥没)が発生したのは1月28日午前9時50分頃。 突然直径5メートルの大きさの穴ができ、道路のアスファルトが地面から10メートル下へと崩れ落ちた。道路を走行していたトラック1台とともに、運転手1人もこの中に吸い込まれた。救助隊が出動して車の後部を持ち上げたが、車の前部が外れ、運転席とともに運転手は下水道管の中に吸い込まれた。現在分離された運転席部分は、当初事故現場から下水管路に沿って30メートル以上流されたものと推定されている。その後、地盤沈下が広がり、穴は直径40メートル規模に拡大し、事故現場は大規模な建設現場を彷彿とさせている。事故から3カ月が過ぎた現在、救助隊は行方不明の運転者を捜索するため、下水を迂回させる「バイパス管」を設置した。また、運転席があると予想される位置の上部道路で、二方向に掘削作業を試みていることが分かった。特に、日本でも直径40メートル規模の超大型道路陥没は異例のことで、事故原因に注目している。

 最近、日本では韓国以上に多くの道路陥没事故が発生している。特に道路陥没の原因には地形にともなう地盤沈下や漏水、周辺工事などが挙げられるが、最大の原因は老朽化した下水管とみられている。韓国の場合、国土交通部と消防庁の資料によると、2019年以降5年間の地滑りや地盤沈下事故957件のうち、半分(50.7%)程度が上下水管の損傷によるものだという。一方、日本では2022年基準で老朽化した下水管による道路陥没が2625件発生した。埼玉の道路陥没事故現場の下水管も1983年に設置されたものと把握されている。

 専門家たちは古い下水管の連結部位が腐食して隙間が広がり、その間に周辺の土が吸い込まれるのが道路陥没の主要原因とみている。国土交通省所属の埼玉事故対策検討委員会の家田仁委員長は先月、事故検討委員会で「下水管路を連結する『セグメント』という部位に隙間ができ、地盤の土砂が下水管の中に吸い込まれていく」と説明した。地盤を維持していた多くの土が下水管の中に消え、空っぽになった地面の下に道路が崩れ落ちるということだ。下水管内部の生ゴミなどからの炭化水素や地球温暖化による夏場の下水管路内部温度の上昇が下水管内部の連結部分を腐らせる原因だという分析もある。

 老朽化した下水管は時間が経つほど増え、その分シンクホール事故もさらに頻繁に起きざるを得ない。国土交通省の統計によると、2022年現在、日本全国の下水管路49万キロメートルのうち約3万キロメートル(7%)が耐用年数の50年を超えているという。2032年に9万キロメートル、2042年には全体の40%を越える20万キロメートルに達すると推定される。一方、下水管の整備・交替事業は老朽化の速度に追いついていない。 日本では毎年3千〜5千キロメートルの下水管が耐用年数を超えているが、補修や交換作業は1千キロメートル水準に止まっている。「予見された道路陥没」という火種を抱えているわけだ。

 国土交通省は八潮市の道路陥没ホール事故直後、全国の地方自治体に同様のタイプの大規模下水道管路緊急点検を要請した。また、政府傘下の「下水道などに起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」は先月17日、「1994年以前に設置された内径2メートル以上の下水管などを全国特別重点調査対象とし、まず調査区域は今夏までに、残りは1年以内を目標に安全点検が必要だ」と提言した。しかし、道路下の地下に埋められた下水管の特性上、施設の点検が難しいうえ、下水管の交換にかかる莫大な費用も悩みの種だ。

 最近、下水管点検の正確度と頻度を高めるためにドローンや地表透過レーダー、人工衛星などまで動員されているが、方法によって適用可能な地形的限界があり費用も障害となっている。また、下水管の交換にかかる費用が住民たちの水道料金にそのまま反映されたり、上水道とは違って下水道管の整備の時は住民たちの不便がはるかに大きい。今回の埼玉緑町交差点事故の時は、近隣住民120万人余りが2週間以上不便を強いられた。日本では1980年代後半から都心の道路陥没研究に本格的に着手し、2016年には東京都に道路陥没などと関連し、下水道管再構築5カ年計画が樹立・施行された。

2025/05/01 19:15
https://japan.hani.co.kr/arti/international/53095.html

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